特集・ハンバーグ 関税引き下げ・円高で追い風
老若男女を問わずの人気商品であり、手間がかからず手軽にできて栄養価も高い。加えてコストが安い割には豪華さも出せるハンバーグは老舗洋食店の定番商品である。弁当給食、学校給食、産業給食にも欠かせないメニューアイテムであり、まさに国民食と言っても過言ではない。このハンバーグの材料である輸入牛肉は朗報続きの食材だ。牛肉輸入自由化五年目を迎え、輸入関税率のダウンに加えておりからの円高である。今こそ稼ぎ頭のハンバーグを再点検してグレードアップするチャンスである。
業務用食材としてのハンバーグ新商品を見ても、グレードアップ、バラエティー化が目立つ。昭和43年に業界で初めて業務用ハンバーグを作ったという「MCC」のテースティーハンバーグは、ハイクオリティー、ローコスト、メニューコンシャス、真空パック&急速凍結、ガゼットパックの五つをメリットとしてあげ、六〇g~一八〇gまで二〇g刻みで七ポーションを揃える。
「弁当からレストランのディナーまでをターゲットにしている。最近のパティの傾向はビフテキの食感に近い固めのものから、ジューシーでやわらかい商品にシフトしている」(MCC)
手づくりも負けてはいない。客の前でジュージュー焼きあげるシズル感で食欲を増進させたり、ポーションオーダーができたりと、手づくりならではの顧客のオリジナルハンバーグを提供して差別化する店が増えている。FRの春メニューにも気合の入ったハンバーグが目白押しだ。
FRのハンバーグ、街のレストランのハンバーグ、世界のひき肉料理から超優良商品ハンバーグのアイデアを探って欲しい。
昭和49年末のオイルショックによる景気後退の中、「すかいらーく」は和風ハンバーグを商品化してハンバーグの流れを変えた。飲食店で和風ハンバーグを出さない店はないというほどの大ヒット。今でもおろしソース、照り焼きソース、醤油ソースと「和風」の領域は広がっている。
FRのマンネリ化が言われて久しかったが、一昨年の(株)すかいらーくのガスト投入による二極化戦略実施のころから、FRはそれぞれ独自路線を歩み始めた。至上命題は各店とも満足度の獲得だが、その方法の柱が価格、サービス、品質と分かれている。表を見ると、FRの旗艦商品であるハンバーグの扱いもさまざまだ。
最近の変化としてはポーションアップ(デニーズ)、ポーションアイテムの絞り込み(すかいらーく、CASA)が行われており、輸入関税率ダウンによるコストダウン(デニーズ)、牛肉一〇〇%で肉感のあるパティを検討(すかいらーく)と、輸入食材利用による利益還元もあり、円高の追い風もあることからさらなる還元が期待できそうだ。
ガロニーはバリエーションが増え、より高品質になっている。モヤシが大根サラダ、ポテトフライがポテトグラタンに(ガスト)、ミックスベジタブル、フライドポテトがバターコーン、ナチュラルカットポテトになり(ロイヤル)、フレッシュ化にも取り組んでいる(ココス)。
ソースもより充実してきており、デミグラスソースにマッシュルームを加えてうま味を増したり(すかいらーく)、和風化に注力(デニーズ)、ハンバーグ専用ソースを開発(ロイヤル)など、バラエティー化(ココス)も進んでいる。パティも一部チルド配送(すかいらーく)、チルド化(ガスト)、原料から製品までチルド化(デニーズ)と、フレッシュ化への取り組みが目立っている。また、各店舗内でミンチの手ごね作業(ロイヤル)を行っているところもある。
ほかには価格が業態創業時に六三〇円を三八〇円(ガスト)や皿盛りが鉄板に(ガスト)、低価格アイテムの追加(ロイヤル)など、品質の向上、利用しやすい価格ゾーンの設定、作業の効率化などあらゆる場面で改良が行われている。
ガストのハンバーグ全アイテム=手前左から時計まわりに、三二〇gハンバーグ、お子様ランチ(ハンバーグ付)、ハンバーグシチューソース、ハンバーグ&カニコロッケ、和風ハンバーグ、目玉焼ハンバーグ、イタリアンハンバーグ