飲食トレンド ヘルスケアレストラン“健康メニューが静かなブーム”
高齢化社会の到来が叫ばれるなか、ヘルシーケアの機運が高まっている。塩分やカロリー控えめを題目とするそれらは、味気なくてつまらないと思われがちだが、最近はおいしさと楽しさを前提にメニューや店舗を開発する動きが目立つ。
外食が食生活を豊かにした役割は大きい。外食比率もますます高まるばかりだ。だが、豊かさが恒常化する一方で弊害も出ている。嗜好色の濃い外食では栄養が偏りがちなのは以前からいわれているが、それが進むとあとはお決まりのコース。大体は体調を崩し食事制限を強いられて外食からは遠ざかる。当然つまらない食生活に逆戻りする破目となる。
食生活の楽しさを啓蒙したならば、それを最後まで継続させる義務がある。解決策を講じるのは、今後の外食産業に課せられた命題といえよう。おいしさを残しつつ、健康面を考慮したメニューを開発するのは至難の技だが、シルバー社会の到来を加味すれば避けて通れない道。各方面でどのような取り組みが行われているか。
各種レストラン事業を展開する(株)キャニーは、新たに(株)エフ・エム・フードサービスを設立し、シルバー向けの事業所給食の展開に乗り出している。キャニーの各種飲食店のチーフシェフがメニュー開発にあたり、管理栄養士が後から成分を点検するシステムで従来の事業所給食とは逆の発想を取り入れている。
病院給食大手の日清医療(株)は治療食という差別的な垣根を取り払うためこのほど「ヘルスプランニングレストラン・おれんじ」を実験的に出店した。“健康の維持や増進にも効果的”をうたい文句に、一般客にも積極的に、門戸を開放。未来のヘルシーレストラン像を模索している。
外食のヘルスケアの最先端を走るそれらの店舗を取材した。
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