喫茶特集 新規参入相次ぐ低価格コーヒーショップ
キーコーヒー(株)(東京都港区、03・3433・3311)は9月1日、世田谷区の三軒茶屋にパイロットショップとして「カフェクラッセ」をオープンした。コーヒー豆のひき売りと雑貨の販売に力を入れた新しい形の低価格コーヒーショップである。「コーヒーも生活もおいしくしたい人の店」がコンセプトで、ひき売りコーナー、生活雑貨コーナー、飲食コーナーの三コーナーからなる。生活に密着した、コーヒー文化を売る複合店舗として既存ショップと一線を画している。今後三年間に五店舗をメドに多店舗展開を予定している。
コーヒー豆メーカーである同社はレギュラーコーヒーが普及した半面、味へのこだわりが薄れていることを懸念。若い主婦やOL、学生に改めてコーヒーの魅力を訴求し、今後のコーヒーファン(オピニオンリーダー)の増加・拡大を図ることを第一としている。新しい試みとしてカウンター後ろに「ビーンズセラー」を設置し、その中で一八種のコーヒーを保管しながら視覚にも豆の豊富さを訴えている。
イートインメニューは、ドリップコーヒー(一八〇円から)、エスプレッソバリエーションのドリンクと、イタリアを代表するパンの一つホッカチャ(一三〇円から)、サンドイッチ、調理パンを揃えて軽食に対応する。ひき売りは一〇〇gマイルドブレンド二九〇円、モカ三一〇円など値ごろ。四八坪で店舗売上げは月七八〇万円を見込む。
(株)ポッカコーポレーション(名古屋市、052・932・1473)と、DPE(現像プリントショップ)業界最大手の(株)プラザクリエト(名古屋市)は昨年10月からコーヒーショップ「カフェ・ド・クリエ」を東海地区に出店して実験していたが、7月の東京・市ヶ谷駅前店を皮切りに九段店、市ヶ谷東店、淡路町店と一気に東京に四店舗を出店した。
主なメニューはコーヒー一八〇円、フレッシュサラダ三九〇円、フレンチサンド二九〇円など。
店内にはパリで買い付けた絵画を飾るなど「芸術の都パリの香り漂う新しいカフェ文化の提案」がコンセプトで若い女性をかなり意識した店舗となっている。
現在、客単価は三〇〇円前後で推移。現在、メニューの見直しを図っており、10月から大幅に改定する予定である。
生豆使用のコーヒーマシーンを製造し、普及に努める(株)カフェックス(神戸市、078・612・1021)は、9月下旬に一杯一〇〇円のコーヒーショップを神戸市長田区若松町にオープンする。生豆を焙煎して直ぐに抽出することによって「フレッシュなコーヒーのおいしさ」を提供、価格と生豆で他店と差別化を図る。同社にとっては機械と生豆普及の一環でもある。
メニューはブレンドコーヒー一〇〇円を目玉に豆のグレードを上げた二〇〇円、三〇〇円のストレートコーヒーの他、フレーバーコーヒー一五〇円などのドリンクと冷凍生地を店舗で焼き上げる焼き立てパンを揃える。特にモーニングには一〇〇円コーヒーとサラダもしくはゆで卵、トーストで二〇〇円のセットを提供、モーニングセットの価格破壊を狙っている。
店舗は一三・九坪、三二席、初期投資は一五〇〇から二〇〇〇万。客単価は三〇〇円前後で一日三〇〇人の来客を想定し、日商一〇万円を見込む。店舗スタッフは二人。「一日・二日で見ると一〇〇円は無謀かも知れないが、長期で計算するとペイできる価格である」(同社)。関東圏の土地も物色中である。
(株)イタリアントマトとキーコーヒー(株)は、七対三の出資で新業態カフェを出店・展開するため、6月に新会社「(株)アイ・アンド・ケイ」を設立したが、10月には一号店「イタリアン・トマトカフェ・ジュニア」がオープンする予定。イタリアントマトはフルサービスレストランに次ぐ業態の開発、キーコーヒーはコーヒー豆の販路拡大を図る。
ヨーロッパのカフェをテーマに一八〇円からのコーヒー、ドリンク類をはじめパスタ類、サンドイッチの軽食やイタリアントマトの自家製ケーキを揃える。平均客単価は七〇〇円から八〇〇円を見込む。