トップが語るわが社の秘策 すかいらーく・茅野亮社長
(1)長く続いた不況を機に各社それぞれに提供する側の論理(プロダクト・イン)から利用する側の論理(マーケット・イン)へと発想を転換し、対応策を打ってきていると思われる。幸い景気も少し明るい兆しを見せ始めており、客数は徐々に回復するものと期待しているが、いぜん価格志向は強く客単価の上昇は望めないのではないか。
当社においては昨年、ガストのブラッシュアップ、SKYLARK GARDENS(SGA)への転換、SKYLARK GRILL(SGR)の実験などの業態改革を行ってきた。しかし、昨年の収益は予想したほどの回復を見ることができなかったが、第4四半期に入りようやく既存店もプラスに転じ、確かな手応えを感じている。
(2)“選択的消費時代の台頭”について、今多くの方々が指摘されているが、あらゆる分野で顕在化して来ているように思われる。外食においてもマーケットが最も成熟し、店舗密度の高い首都圏において顕著である。
本年度はこうした選択的消費時代に対応して、エリアごとに業態編成の見直しと店舗再配置を積極的に進めたい。これによりお客様の店(業態)選択の幅は広がると同時に、同一業態間の競合をも回避することができ、業態および既存店の活性化が図れ、一段の客数増が見込めるものと期待している。
現在、具体的な詰めに入っているが本年度末の業態別布陣は、おおむねガスト五〇〇店舗、すかいらーく二〇〇店舗、SGA、SGRあわせて二〇〇店舗程度とし、エリアごとに複数業態をバランス良く効率よく配置させたい。新規出店については昨年に続き六〇店強を予定しているがガスト三〇店舗前後、SGA、SGRあわせて三〇店舗前後を予定。
(3)グループ共同仕入れ会社「SGM」は三年目を迎え、いくつかの開発輸入を積極的に手がけ、軌道に乗り始めてきた。SGMの強みは単なる量のパワーではなく、一つの食材から多くのメニュー開発ができることである。
つまり、和・洋・中合わせて一二業種が展開するメニューバラエティーにある。昨今の為替の安定、規制緩和などの外部環境も好転し始め、グローバル・マス・マーチャンダイジングを積極的に展開し得る素地は整ってきたと考えている。