話題の飲食施設 新宿アイランド(東京・新宿区) 高層ビル街の新飲食スポット
新宿駅西口。青梅街道に出て7~8分、中野坂上方向に歩く。新宿野村ビルや三井住友ビルなど超高層ビルが林立するオフィス街の一角。新宿アイランド(SHINJUKU I・LAND)は超高層棟(高さ約一九〇m)地下四階、地上四四階、高層棟地下二階、地上一六階建て。オフィス、店舗、住宅、専門学校、多目的ホールから成る複合都市施設で、住宅、都市整備公団が事業主体となって、平成7年5月にグランドオープンした。オフィスや住宅、学校など合わせて再開発街区の人口は約八〇〇〇人だが、地域(周辺)住民や会社(オフィスワーカー)など不特定の来街者を含めれば、一日当たり施設の利用者は一万二〇〇〇人前後になると推計している(新宿アイランド管理事務所)。
施設内の商業施設「it’s Food & Shop」(イッツフード&ショップ)は、これら人口(施設利用者)の消費ニーズに対応するもので、飲食、物販、サービス、医療など合わせて約六〇店舗を集約している。初年度売上げ五〇億円前後を見込んでおり、新宿西口超高層ビル街の新たな飲食・消費スポットとしての存在をアピールしている。しかし、土・日は主力ターゲットのオフィスが休みになるので、店の“立地”によっては平日との落差が大きく、このため、地域(施設)への来街(集客)をトータル的にどう安定させるかが、重要な課題だ。
「都市機能と人間の心を融合」、“人に優しいニューインテリジェント都市”。新宿アイランドの施設コンセプトだ。
オフィスをはじめ各施設においては、高度情報化社会に対応して、情報、自動化、セキュリティ、コントロールシステムなどハイテク技術を駆使。
施設外では超高層棟「新宿アイランドタワー」の前面に円形広場(パティオ)を展開、敷地内の植栽と合わせて欧米の都市広場に似たやすらぎの空間を訴求している。
パティオ周辺には世界の現代美術を代表する一〇人のアーティストの作品も展示されており、また、人の五感に訴える「光」「映像」「音」「緑」「香り」の演出もある。
都会では希薄になった季節の移り変わりが「気配」として感じとれるという趣向だ。せかせかした都会人がどこまでその空気を感じ取れるかは疑問だが、ハード(機能)、ソフト(文化性)を一体化させているというのは、この施設の大きな特色だ。
パティオは地下一階になっており、これを囲む形で「ロッテリア」「カプリチョーザ」「レディーボーデン」など大手飲食チェーンほか、複合レストラン「スパイスロード」、同「クイクイ」、南仏料理「プロヴァンス」などの飲食店舗が展開する。
パティオ南側後方にも飲食ゾーンが広がっており、さかな三昧「魚七」、手打麺処・郷土名物「三国一」、しゃぶしゃぶ居酒屋「吉座」、高級すし食べ放題「雛鮨」、信州そば酒房「そじ坊」、喫茶・軽食「グリーングラス」など六店が展開している。
◇本館(アイランドタワー)地下一階(二〇店)、さかな三昧「魚七」、手打麺処・郷土名物「三国一」、複合レストラン「qui qui」(ワールドレストラン「神戸クイクイ」、飲茶レストラン・上海小籠包・焼肉・しゃぶしゃぶ「ビーフレストランはや」)、複合飲食レストラン「スパイスロード」(地中海料理「タントドマーニ」、インド料理「クムクムマハラジャ」、アラビア料理「シンドバット」、インドネシア料理「ジュバタンメラ」、アフリカ料理「ローズ・ド・サハラ」、トロピカル&スパイシーバー「マルコポーロ」)、アイスクリームショップ「レディーボーデン」、ハンバーガーショップ「ロッテリア」、しゃぶしゃぶ居酒屋「吉座」、高級すし食べ放題「雛鮨」信州そば酒房「そじ坊」イタリア料理「カプリチョーザ」、南仏料理「PROVENCE」(プロヴァンス)、喫茶・軽食「グリーングラス」
◇別館地下一階(五店)「ニューヨークマフィンファクトリー」、カレーショップ「S&Bカレーの王様」、ベーカリー&カフェ「ムフタール」、さっぽろらーめん「サッポロ本舗」、焼・揚・呑「つきじ植むら・通」
◇一階(五店)レストラン「ロイヤルホスト」、イタリア料理「イルフォルノ」、喫茶「ドトールコーヒー」、紅茶専門店「リーズ」、フローズンヨーグルト「TCBY」。
◇地上四四階(一店)北の味紀行と地酒「北海道」
同じ地下一階だが、別館には焼・揚・呑む「つきじ植むら・通」、ベーカリー&カフェ「ムフタール」、さっぽろらーめん「サッポロ本舗」「S&Bカレーの王様」「ニューヨークマフィンファクトリー」など五店が出店しており、オフィス、住民の多様な飲食ニーズに対応している。
タワー地上一階部分。レストラン「ロイヤルホスト」、イタリア料理「イルフォルノ」、フローズンヨーグルト「TCBY」の三店。
別館地下一階には「ドトールコーヒー」、紅茶専門店「リーズ」の二店が出店するという賑わいぶりで、トータルで三〇店(業態)の飲食店舗を展開する。
これら店舗の総客席数は二四七〇席。客回転は日中が二回転前後、夜が一・五回転。平均客単価は昼一〇〇〇円以内、夜二五〇〇円前後といったところだ。
「平日はそう問題はないのですが、やはり土・日ですね……。会社関係が休みになりますので、全体的にみれば昼、夜の集客力は大きく落ちます。
いろいろと販促、イベントなども実施して地域住民の来街も喚起しているのですが、全店を統一した販促は各店の運営方針もあって無理ですので、個店、個店が自店の特色、魅力をアピールしていくことも大事なことではと考えております」(新宿アイランドit’s事務局)
九六年4月には建設中の営団地下鉄丸の内線の新駅が完成して、地下通路で直結、また、九七年度中には地下鉄一二号線の新駅も開設される。交通の利便性が高まって地域および施設への来街者が大きく増加する。先行きの見通しは明るいということだ。
地下一階。しゃぶしゃぶ居酒屋「吉座」。三二坪、五二席。ランチ牛定食八五〇円、夜しゃぶしゃぶ食べ放題(上選内・ずわい蟹)コース三五〇〇円が人気商品。
客層は平日サラリーマン、OL、土・日・祭日はファミリー客。客単価昼一〇〇〇円、夜三〇〇〇~四〇〇〇円前後。
平均客数昼二〇〇~二五〇人、夜二〇〇人。(株)徳寿(本社/東京・渋谷区)の直営店で、同じフロアに高級すし食べ放題「雛鮨」、さかな三昧「魚七」を出店。
昨年9月オープンのカプリチョーザ(FC店)。地下一階出店。店舗面積約三〇坪、客席数七五席。
新宿アイランドでも人気のレストラン。とくに若い女性の来店動機は高い。本場南イタリアの手作りの味、ボリュームと値ごろ感が売りもので、ピザ、スパゲティは人気商品。
トマトベースはイタリアからの直輸入。昼二回転、夜二~三回転。
手打麺処・郷土料理「三国一」(写真(上)(下))、店舗面積六五坪、客席数一〇六席。純和風、木造り感覚が心を和ませる。
昼は自家製手打ちうどん(六〇〇~八五〇円)、夜は旬の食材を使ったつまみ類(家庭・郷土料理)と地酒(PB)「三国一」(六〇〇~七〇〇円)で集客力を発揮。
客層はアイランドタワーなどのオフィスワーカーが主体。客単価二〇〇〇円前後。土・日・祭日は客数が平日の五割ダウン。
平日の吸引力が強いので月商一五〇〇万円をクリアしている。営業時間平日午前11時~午後11時、土・日・祭日は午後10時まで。
◇新宿アイランドの施設概要
・オープン 平成7年5月15日
・事業施工者 住宅・都市整備公団
・所在地 東京都新宿区西新宿六‐二‐五(it’s事務局 Tel03・5323・2010)
・交通 新宿駅西口から徒歩8分
・敷地面積 約六七〇〇坪
・土地用途 商業地域・防火地域・高度利用地区
・階数 超高層棟=地下四階、地上四四階、高層棟=地下二階、地上一六階
・建築面積 約三五〇〇坪、延床面積=約七万三六〇〇坪、建ペイ・容積率=五〇%、九五〇%、駐車場=約七九〇台
・商業施設 Food&Shop「it’s」、地下一階「おいしさの街」、一階「にぎわいの街」、二階「やさしい街」のフロアコンセプトで、飲食三一店、食品販売三店、物販・サービス・医療二五店の計五九店を展開
・商業施設初年度売上げ目標(全体) 約五〇億円