回転寿司チェーン、寡占化顕著に スシローが快進撃

ニュース 外食 2021.05.31 12235号 01面
「スシロー」では自動土産ロッカーの導入でテークアウト売上げが増加

「スシロー」では自動土産ロッカーの導入でテークアウト売上げが増加

「くら寿司」は業界に先駆けDX対策に注力

「くら寿司」は業界に先駆けDX対策に注力

 ●「非接触」サービスで都市型出店進む

 回転寿司株式公開企業4社の決算はスシローグローバルホールディングス(4月からFOOD&LIFE COMPANIES)が売上高前年比2.9%増、税引前利益同26.6%減。ほかの3社はコロナ禍で客数が減少し、減収減益ないし赤字計上となっている。各社とも「非接触」やテークアウト・デリバリーを進め、スシローとくら寿司が都市型をはじめとした新しい出店を推進。さらに、スシローの好調ぶりが際立ち寡占化が顕在化している。(千葉哲幸)

 スシローグローバルホールディングスは20年9月期、感染症対策を徹底すると同時に、セルフレジを6月末に全店導入、自動土産ロッカーを5%強の店舗で導入、自動案内を10%弱の店舗で導入。デリバリーは外部事業者との取組みのほかに自社便も開始。近隣のスシロー店舗で調理した商品を毎日配送するサテライト方式によるテークアウト専門店の展開を期間限定で開始。国内出店50、退店5で国内総店舗数583となった。21年9月期の第2四半期では、売上高が前年比10.1%増、営業利益が同59.2%増、税引前利益同57.5%増、当期利益同52.7%増となった。この好調な背景には上半期に24店舗出店したこと。内訳はロードサイドのほかに都市型5店舗、“スシローTo Go”と呼ばれる持ち帰り専門店3店舗を出店し、新しい顧客を発掘している。4月から京樽が傘下となり、上方寿司のテークアウトや都市型で小型回転寿司店の海鮮三崎港が加わり、寿司市場を網羅していく。

 くら寿司では外食業界に先駆けて感染予防対策を実施、20年5月にはレジ前および座席間に抗菌シートを全店に設置、10月には2店舗でお客が入店から退店まで店員と接触しない「完全非接触店舗」のテスト稼働を開始。21年10月期以降にオープンする店舗では全店舗を完全コンタクトレス&タッチレスの「スマートくら寿司」としていく。また、1月19日に初の都市型店舗となる「渋谷店」「西新宿店」を同時にグランドオープン、このタイプはその後「武蔵小杉店」「小岩店」「赤羽駅東口店」「道頓堀店」「高田馬場駅前店」と出店が続いている。

 これらの都市型店舗では通常型店舗の標準的な一皿がスシローで100円(税別)に対し120円、くら寿司が100円に対し110円と高く設定して高い家賃を吸収、また車利用を前提としないことから勤め帰りの人のアルコール需要を想定し品揃えを豊富にしている。都市部では大型居酒屋チェーンやアミューズメント施設が撤退する傾向にある中で出店事例は増えていく見込みだ。

 カッパ・クリエイトの回転寿司事業「かっぱ寿司」はテークアウト・デリバリ-強化を図り、Web・アプリ注文限定の20%オフキャンペーンを実施、デリバリーでは外部事業者を活用し全体4割の127店舗で実施した。

 元気寿司ではクレジットカードからチャージが可能なオリジナル電子マネー「スシカ」を作成しキャッシュレス決済を推進、セルフレジなど自動案内機、非接触オペレーションへの投資を強化した。

 スシローの快進撃は勢いを増していきそうだが、その他も非接触などのロボット化、キャッシュポイントの開拓に余念がない。ファミリー外食のボリュームゾーンである回転寿司が外食の新しいスタンダードを創りつつある。

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