アポなし!新業態チェック(166)「銀座メンチ こがね亭」清瀬駅南口店
●銀座ライオン、メンチとコロッケ新業態 丼メニューもテイクアウト、コロナ禍で食物販にチャレンジ
サッポロホールディングス傘下の外食企業サッポロライオンが、メンチカツとコロッケの新業態「銀座メンチ こがね亭」を東京都清瀬市に出店した。同店は、店外に向けた販売カウンターと14席のイートイン席を設けたメンチカツとコロッケの専門店。西武新宿線の清瀬駅を南口に降りて目の前に位置する洋食屋スタイルの店舗だ。
メニューは、看板商品である「牛メンチカツ」(330円)と4種類のコロッケ、「国産牛コロッケ」(286円)、「国産牛カレーコロッケ」(297円)、「ビーフシチューコロッケ」(418円)、「海老と蟹のグラタンコロッケ」(396円)がメイン。ほかに、メンチとキャベツをのせた「メンチカツ丼」(550円)、メンチに加えて唐揚げやコロッケをのせた「メン唐丼」(726円)と「メンコロ丼」(748円)、目玉焼きとデミグラスソースの「メンチカツデミ玉丼」(770円)、オムライス風にした「メンチカツオムデミ丼」(825円)などの丼メニューがある。テイクアウトも可能だ。
イートインでは、「ごはんセット」(220円)や「生野菜サラダ」(110円)などのサイドメニュー、ちょい飲み利用のためのビールやハイボール、おつまみ類も用意されている。メンチカツは牛肉100%、揚げ油はラードを使用し、自宅で温め直してもおいしいパン粉を選ぶなど、同社の持つ洋食メニューのノウハウを盛り込んだ。日本初のビアホールを生んだ外食の老舗が展開する、新たなブランドだ。
(価格はすべて税込みイートイン価格)
★けんじの評価 飲食店とは異なるブランド政策がカギ
清瀬市は東京都と埼玉県の県境に位置している。東京都に属してはいるが、地理的には埼玉県の所沢市や新座市とも関連性が高い。近年、清瀬駅の周辺には「山田うどん」の居酒屋「ダウドン」や「松屋」のそば業態「松そば」など、新業態の1号店出店が目立つ。統計データ的に新業態のテストマーケティングに適したエリアと判断されているのだろう。
従来、サッポロライオンが展開してきたのは酒類販売を想定した業態がほとんどであり、惣菜のテイクアウトを中心にした今回のような食物販のブランドは珍しい。メンチカツやコロッケのような惣菜は大衆的な食品であるため、基本的には価格勝負のコモディティ商品だ。先に記したのはイートイン価格だが、同店の商品はテイクアウトでもかなり高めである。このような価格でメンチカツやコロッケを売るためには、かなり戦略的なブランディング政策が必要になるはずだ。「老舗洋食店の味」とうたう通り、同店のメンチカツとコロッケは確かに十分においしい。しかし、その“老舗のおいしさ”を伝える商品設計の演出や背景ストーリーがなければ、なかなか評価されないのが現在の食物販なのだ。
同店の丼メニューには、どれもパセリが添えられている。ある年代以上にとっては懐かしい薬味だが、それが老舗洋食のこだわりなのだと伝えなければ、それを知らない世代には理解してもらえないかもしれない。食物販では飲食店とは異なるマーケティングが求められる。そこが同店の最大の課題なのではないだろうか。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「銀座メンチ こがね亭」清瀬駅南口店
開業=2021年2月28日
所在地=東京都清瀬市松山1-2-4
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/