メニュートレンド:おままごとチックが楽しい! 小さな小さなミニチュア海鮮丼
「小ポーション」「多品目」という外食ニーズに照準を合わせ、一風変わったランチを完成させたのが「TOKYO FISHERMAN’S WHARF UOHIDE(ウオヒデ)」だ。同店の「おちょこ丼ランチ」は2022年7月から販売展開し、SNSで人気が爆発。多彩な具材をミニチュアの丼にした見栄えの魅力はもちろん、「おいしいものを少しずつ多種類食べたい」という現代の消費者ニーズど真ん中で、週末には日販60~70食は売り上げる。
鮮魚が自慢の同店では「既存メニューの食材をそのまま活用したインパクトのあるランチを」と、「おちょこ丼ランチ」を考案した。同店を運営するKaya GroupのPR事業部、向井昇部長によると「当初は一つの丼に海鮮をどっさり盛る海鮮丼を考えていましたが、これはどこにでもある。他にはない見栄えを、と試作を重ねました」。その試作を見たアルバイトの女性スタッフが「具材をそれぞれ別のミニ丼にしてみては」と、アイデアを寄せたという。
おちょこ丼は「おちょこ」との表現そのままに、直径10cm程度の小さな器を丼にしている点が秀逸だ。一つの丼に約25~30gの白飯とアタマの具材を盛り付けている。細かい手間がかかりそうだが、「オペレーションはそこまで大変ではありません。ご飯を盛るのはどれも一緒で、アタマの具材を変えるだけですから」と、向井部長。また、来店客の9割が「おちょこ丼ランチ」を注文するため、「人気メニューが集中してくれると、オペレーションはかえってスムーズ」と言う。
おちょこ丼は6種、8種、10種をセットにした3コースを用意し、各セットに並ぶ丼は決められている。よりどりで丼を選べる提供手法も考えられるが、「それではお客さまは、好きなものだけを6種注文すればそれで十分、として8種、10種には目が向かなくなる」(向井部長)と、あえて採用しなかった。そして、8種類、10種類のセットでしか食べられない丼は「お客さまが『これはぜひ食べたい』と特に思っていただける目玉となるものにした」(同)そうで、その狙いは的中。「ちょっと味わってみたいお客さまはリーズナブルな6種を、『せっかくだから全部食べたい』というお客さまは10種を注文します」と、6種と10種のセットで人気を二分している。
おままごとを思わせる愛らしい魅力と共に、消費者ニーズをしっかりととらえた巧みな戦略が見事に成功している名物ランチというわけだ。
●店舗情報
「TOKYO FISHERMAN’S WHARF UOHIDE 渋谷 Sakura Hill」
経営=Kaya Group/店舗所在地=東京都渋谷区桜丘町15-17 渋谷グランベルホテル1階/開業=2022年7月/坪数・席数=25坪・42席/営業時間=11時30分~15時、17時~23時。不定休/平均客単価=昼1000~1500円、夜3000~4000円/1日平均集客数=平日93人、休日121人
●愛用食材・資材
「ボンペシェ ブラン」 輸入者=BMO(東京都渋谷区)
魚料理のための白ワイン
華やかで甘い香りのナチュラルワイン。同店のグラスワインに使用。「ラベルでもわかるように、魚料理に合わせるために造られたワインです。鮮魚との相性を追求し、同品に行き着いた。マスカットの香りがすっきりとしていて、酸味がやわらかくクセがない。お客さまにすすめると、ほとんどの方がお代わりをされますね(笑)」と向井部長。
規格=750ml
【写真説明】
写真1:10種のおちょこ丼が並ぶセット。そのほか8種の「プレミアムおちょこ丼ランチ」(2,480円)、6種の「スタンダードおちょこ丼ランチ」(1,780円)の3セットを展開。秋冬、春夏と時季によって内容が変わる同シリーズのほか、通年メニューの「6種の海鮮おちょこ丼ランチ」(1,580円)もあり