メニュートレンド:ピザ生地で蓋する新感覚つけ麺 洋食の発想でもう一つの楽しみ

スープの器に使用しているのは、釜飯用の陶器の釜。注文が入ったら自家製のピザ生地を器にかぶせ、オーブンで焼き上げるのだが、「陶器の釜が最もトングで挟むのにぴったりで、食べやすい大きさだった」(皆川店主)
パイ皮を突き崩して食べるパイ包みシチューはポピュラーだが、これをつけ麺で採用したのが東京・立川の「UMA TSUKEMEN」だ。つけ麺に洋食の発想を加え、スープに麺をつけるだけでなく、ピザ生地もつけて食べるもう一つの楽しみをプラスした提案が画期的で、日々行列ができる人気店になっている。
斬新なこのつけ麺は、「UMA TSUKEMEN」の皆川富士雄店主がつけ麺にちょっとした不満があったことから考案した新タイプのメニューだ。「つけ麺を食べていると、濃厚なスープは冷めていくうちに脂が浮いてしまう。この浮いた脂を生かすようなおいしい食べ方はないものか、と考えた」と、皆川店主。同店を創業する以前、皆川店主は洋食店で働いていたことから、つけ麺に「パイ包みシチュー」の発想を取り入れることを思いついたという。
同店のつけ麺はスープの上に薄いピザ生地をかぶせ、オーブンで焼いて提供している。食べ方は、スプーンでパイ皮を突き崩してスープに落として食べるパイ包みシチューとは少し異なる。まずは熱々のピザ生地を手で外側に開いてスープをオープンにし、少しちぎった生地をそのまま味わう。次にスープに麺を入れてつけ麺として食べ、合間に周囲のピザ生地をちぎってスープにつけて食べる楽しみ方を推奨している。「パイ包みシチューのように突き崩して食べるとピザ生地がスープを吸ってしまうし、麺をスープにつけて食べづらい。麺も生地も各自が好きなようにスープにつけながら食べてほしい」(皆川店主)と言う。
スープにかぶせられたピザ生地は熱々で、パリッとした香ばしい口当りともちもちとした食感があり、魚介豚骨ベースにローストした小エビの粉を合わせた濃厚なスープと驚くほどよく合う。ピザ生地も食べ応えがあり、「つけ麺+半ライス」と同程度のボリューム感だ。
皆川店主は洋食畑を中心に調理に携わり、ラーメン店の経験はまったくなかったという。だからこその発想で、「つけ麺」に新しい楽しさが加わった。
●店舗情報
「UMA TSUKEMEN」
所在地=東京都立川市西砂町1-3-15/開業=2009年2月/席数=13席/営業時間=11時30分~14時30分、17時30分~22時。水曜休/平均客単価=1100円/1日平均集客数=平日50~60人、土日祝100人
●愛用食材・資材
「瀬戸内の花藻塩」 白松(東京都港区)
まろみのある塩味
瀬戸内海の海水100%使用の海塩を藻塩に仕上げたうま味のある粗塩タイプの塩。「一流寿司店の卓上に小瓶で置いてあったので試してみたら、とてもよかった。味が尖ってなく、まろみのある塩味でしっとりとしていますね。うま味もあり、使いやすい」(皆川店主)と、さまざまな料理に活用している。
規格=1kg
【写真説明】
写真1:豚骨、大山地鶏の鶏がら、昆布だし、カツオだし、椎茸などで作る魚介豚骨スープにエビ粉、濃縮したエビダレを合わせた濃厚なスープのつけ麺。スープの上にかぶせたピザ生地が帽子のようにふくらんだ見た目もユニーク