メニュートレンド:香りを楽しむ緑のラーメン ポタージュ風スープとマッチ

「京都宇治の抹茶鶏白湯 味玉付き」 1,200円(税込み) トッピングは、低温調理をした鶏むね肉のチャーシュー、煮卵、水菜、赤玉ネギ、エディブルフラワー。仕上げに、オリーブオイルを使用した抹茶のオイルをかける
世界的なブームで需要が急増している“抹茶”。製菓だけではなく料理に取り入れる店も増えているが、大阪・京橋の「麺屋 いち山」では抹茶のラーメンを開発。見た目のインパクトと共に、鶏白湯とマッチした味わいが話題を集めている。このラーメンを目当てに来るインバウンド客も多く、順調に集客数がアップしているという同店を取材した。
●2ジャンルの料理技術で商品開発
店主の一山篤嗣(いちやまあつし)さんは、12年前からイタリアンバルを経営。2023年、近隣でラーメン店もオープンさせた。中国料理を学び、中国料理店に就職。その後、イタリアンで長く働き独立したという経歴を持つ。
「勤めた店の担々麺のおいしさに感心し、将来はラーメン店をやりたいと思っていた。バルでランチにラーメンを提供すると人気が出たため、長年の思いを実現させた」と語る。
好評の「新鶏白湯」は、スープに玉ネギやジャガイモ、ニンニクを加えて作る、ポタージュのような味わいが特徴。「一般的な鶏白湯は脂が多いイメージ。ウチのとろみは脂ではなく普通と違うので、商品名に“新”をつけた」と一山店主。客からは「イタリアンっぽい」との声が多く聞かれるそう。
「京都宇治の抹茶鶏白湯 味玉付き」は、そのスープに抹茶を合わせた、香りを楽しむラーメン。バルでは、肉料理用に抹茶塩を作っており、余った抹茶の活用を考えたのが開発のきっかけとか。ポイントは、苦みが立ち過ぎず、抹茶と鶏白湯の両者を生かすバランス配分。当初は低調だったが、テレビで紹介されると人気が上昇。インバウンド客やリピーターが増えている。
リゾット風の締めや、味変用に白トリュフオイルを用意するなど、細部にイタリアンのテイストが感じられる。一方、新鶏白湯と並ぶ人気の担々麺は、スープ作りの最初から酢を入れることで味に深みを出し、まろやかな辛さに仕上げる。こちらは、中国料理の技術が発揮されている。
また、3ヵ月ごとに限定メニューを提供しており、抹茶を使用する商品も登場予定とか。「面白いメニューを考案し、季節ごとに楽しみを持ってもらいたい」と、一山店主は意欲的に語る。
●店舗情報
「麺屋 いち山(ICHIZAN)」
所在地=大阪市都島区片町2-9-20/開業=2023年3月/坪数・席数=約10坪・17席/営業時間=11時30分~14時30分、18時30分~23時30分。無休/平均客単価=1000円/1日平均集客数=100人
●愛用食材・機器
「抹茶 梅の白」 祇園辻利(京都市東山区)
スープと好相性
抹茶鶏白湯で使用するのが同品。ラーメンを作りたいと販売元に相談したところ提案された商品で、「上位ランクの抹茶ではないが、かえってこの苦みがスープに合う」と一山店主。実際に上位の商品でもラーメンを試作したが、同品に軍配が上がったとか。バルとラーメン店共に愛用する品である。
規格=40g