英国民をとりこにするクラフトジン ついにスイーツも登場

いま英国でジンと言えば誰もが興味を示すほど人気がある。この流行は年々勢いを増す一方だ。毎年およそ50のジン醸造所が立ち上がり、倒産する醸造所はひと握り。ジュニパーベリー(ねずの実)風味の典型的なドライ・ジンはもう古い。個性的なボタニカル(香草・薬草類)を加えたジンが主流だ。近年では、ジン風味のスイーツや温泉までも登場し、今やジンはなくてはならない存在となっている。

規制緩和でクラフトジン・ブームが到来

1900年代前半に第1次ブームとなったジンは、10年前にカムバックを果たした。その起点となったのが規制緩和である。英国政府は、これまで禁止していたジンの少量生産を許諾したのだ。これによって、個人経営の小さな醸造所でも、ジンを生産販売できるようになったのである。

クラフトジン・ブームの始まりである。2018年、イギリスには約315の醸造所が存在し、5 年間で2倍に増えている。地域色豊かなボタニカルを加えたジンの売上げは、伝統的なジンの20%も上回った。

英国でのクラフト・スピリッツの人気は、クラフト・ビールの人気と同時に始まっていた。これがカクテル文化の広がりと一体化し、成分の調整や混ぜ物で味や色の変化を楽しめるジンが注目されているというわけだ。

ジン風味のチョコやマシュマロも

ジンは、ワインやビールに飽きていた英国人に刺激的で楽しい経験をもたらしている。

さまざまなボタニカルを加えたジンと同時にジン風味のスイーツが人気を呼んでいる。スピリッツは、50mlの小瓶も販売されており、大瓶を購入する前に試したいという消費者に人気がある。

今回は、毎年行われるイギリスの「Great Taste Test」で、最高ランクの3つ星を獲得したユニークなジンとジン風味のスイーツを紹介する。

■ココア・ジン(Hotel Chocolat)

チョコレート風味のスムーズなドライ・ジン。材料には、炒ったココアの殻、レモンの皮、ジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカ、オレンジを使用。2014年に3つ星を受賞したユニークな商品だ。

ココア・ジン

■ジン・チョコレート(M&S)

4種類のジン風味のチョコレートの取り合せが箱売りで販売されている。その風味は、ジン・トニック、ジン&キュウリ、ピンク・ジン、ダムソン・ジン。ダムソン・ジンはブラックチョコレートにダムソン(スモモの一種)のリッチな味わいが特徴だ。

ジン・トニックは、口当たりのよいミルクチョコレートに軽いトニック風味が効いて爽やかな味わい。ピンク・ジンは、ホワイトチョコレートにラズベリーがブレンドされ、フルーティな甘さが特徴。ジン&キュウリは、ミルクチョコレートに爽やかなキュウリ味のさっぱり感が売りである。

ジン・チョコレート・コレクション

■エルダーフラワー&ジンのマシュマロ(Lidl)

Hortus社の製品であるエルダーフラワー風味のロンドン・ドライ・ジンを浸み込ませたマシュマロである。英国で収穫できるエルダーフラワーを使ったジンは、フローラルでエレガント、口あたりが滑らかでほんのりと甘い。それがマシュマロに融合し、口の中でとろけてしまう。

エルダーフラワー&ジン

(フードライター ラッド順子)

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