野菜もコメも生ビールも量り売り…ほしい分だけ買えるジョージアの合理的スーパー

スーパーで量り売りして買うものといえば、どのような品物があるだろうか。日本の場合、思い浮かべるのが難しいほど、商品の多くはすでにパッケージングされており、店舗側から提供されているサイズで購入するのが一般的なスタイルである。しかし、東欧・ジョージアでは、やや事情が異なる。この国では、ほとんどの食材がそのまま置いてあり、欲しい分だけ量り売りで購入することが可能なのだ。

必要な分だけ袋に詰めて重さを量り購入

野菜や果物類は種類別に置かれているため、必要な分だけ袋に詰める。バナナに至っては、房から1本だけちぎって購入する、なんていうことも可能。

必要な量を袋に詰めたら、重さを量ってバーコードを貼ってもらう。1個しか買わず袋が不要な場合は、直接バーコードを貼ってもらうことが可能なことも。

スーパーの野菜コーナー。欲しい野菜を欲しい分だけ詰めて購入できる

ちょっと驚く光景のコーナーもある。コメやオートミールといった穀物、砂糖や塩などの調味料、パスタやそばの実(ジョージアでは実のままゆでて主食として食べる)が大きな容器に入れられている。

粉や穀物が入れられたコーナーも

こちらは、備え付けのスコップですくいとる。小麦粉でも何でも、ビニール袋に入れて購入する光景は、ちょっと日本ではお目にかかれそうにない。

生ビールが欲しければ、1リットル単位で購入可能

さらにジョージアのスーパーでは、生ビールを購入できる場所も多い。飲み物コーナーの一角にカウンターが設置されており、複数の種類のビールサーバーが用意されている。遠目に見るとちょっとしたパブのような見た目だ。

多くの場合、売場の奥に少しおしゃれなビールコーナーが

好みの銘柄を指定すると、係の店員がなれた手つきでサーバーからペットボトルへ充填(じゅうてん)してくれる。最後に未開封のキャップをポンっと押し込めば、密閉された生ビールの完成である。

ビールコーナーには1リットルと5リットルのペットボトルが用意されていることが多く、1リットル単位で好きな量を購入できる。

消費者には合理的で便利なシステム

自分で商品を詰めて量り、バーコードを貼ってもらうと手数が多く、一見面倒そうに見えるこのシステム。しかし、慣れてくるとメリットが多いことに気づく。

第1に、自分が本当に必要な量だけ購入することができる。これはシンプルに見えて、実に合理的だ。スーパーに買い物に来る客は、1人暮らしの学生もいれば、4世代同居の10人家族もいる。

今日使う分だけ欲しい日もあれば、1週間分買い貯めておきたい時もある。先回りして量を決めておくのではなく、客が欲しいものを欲しい分だけ買うことができるため、自由度が高く食材も無駄になりにくい。

一口サイズの菓子類も、もちろん量り売り

第2に、気になる商品を試しやすい。初見で味もわからない商品が気になった時、パッケージングされた1kgの商品には手を出しづらい。その点、量り売りであればほんの少しからでも購入できる。まずは1回分だけ試しに買ってみて、気に入ったら次回はまとめ買い、ということができるのだ。

もちろん、ジョージアにもパッケージングされ、量が決まった商品も存在している(多くの場合、輸入商品のため量り売りよりもやや高い)。急いでいる際や、衛生的に密閉されていた方が良いものであれば、そちらを選べば良い。

そうでない場合、自分の都合に合わせて好きなように量を選べるというのは、合理的で、消費者にとってメリットが多い。

在庫管理や衛生管理、売場スタッフの業務増加など課題は存在するが、何とか日本でも導入を期待したいサービスの一つである。(フードライター 加藤麻結)