サントリー、国産最低価格発泡酒「スーパーホップス」投入 市場新局面へ

酒類 1996.05.08 8036号 1面

サントリー(株)(東京都港区、03・3470・1104)は国産発泡酒では最低価格の「スーパーホップス」を、28日から順次全国で発売する。「スーパーホップス」は麦芽使用比率がサッポロビール「ドラフティー」と同じ二五%未満、レギュラー缶希望小売価格一五〇円、ロング缶二〇〇円で、「ドラフティー」よりレギュラー缶、ロング缶ともに一〇円低価格の国産発泡酒では最低価格を実現。業務用樽生(一〇リットル、一五リットル、二〇リットル)も発売する。今年10月1日からの発泡酒増税をひかえ、各社の動向が注目されており、特にビールと同額の酒税額適用となる「ホップス」の動向が最も注目されていた。昨年七七〇万ケース(大びん換算)を販売した大型商品が最低価格に位置することで、発泡酒市場は新たな局面を迎えることになる。

10月1日からの発泡酒増税でビールと同額の税額適用範囲が現行の麦芽使用比率六七%以上から五〇%以上まで引き下げられ、麦芽使用比率六五%未満のサントリー「ホップス」はレギュラー缶で二四・三円の税額増となり、対応を迫られていた。

7日、東京都内で会見した同社ビール事業部長、深井汪常務は「麦芽使用比率を下げることが品質の低下につながるとは思わない。あらかじめ糖化したスターチを購入、使用する当社独自の“スーパークリア製法”により、麦芽使用比率二五%未満でもよりピュアでクリアな高品質の商品製造を実現した」と、「スーパーホップス」が消費者のニーズに十分応えうるものであることを強調。年初計画通り一五〇〇万ケース(レギュラー缶換算、従来品含む)の年内販売数量を狙う。

発売地域は5月28日が北海道、東北、関東甲信越および静岡、西日本地区は6月11日。

「スーパーホップス」の攻勢を正面から受けるサッポロビールは「営業戦略に変更はない。九六年販売目標一〇〇〇万ケース(大びん換算)の計画にも影響はない」(ビール営業本部本部長・日暮正信常務)と逆に「スーパーホップス」との販売合戦を繰り広げることで発泡酒市場を一層活性化させようと強気の構えだ。

「キング・ソロモン」を9月下旬までは現行価格一三八円で販売、増税後は増税分を転嫁する意向の日本酒類販売は「“スーパーホップス”とはほぼ同価格となるため、直接競合することになる」(海外商品部)と、商品特性をよりアピールして差別化を図っていく方針だ。

日本ビールも「盛需期は現行価格一六五円を維持、9月以降、麦芽比率二五%未満の新製品を発売する」(広報部)と、盛需期以降の切り替えで増税をかわす方針だ。

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