有機栽培食材だけを使ったパーティー NPO全健協「新春 自然食の集い」から
世の中にグルメなパーティーは数々あれど、大地の恵みを存分に吸い上げた有機栽培作物だけを使用した集まりでは、どのようなメニューが供せられるのだろうか。最新のオーガニックメニュー満載の特定非営利活動法人 全日本健康自然食品協会(略称、NPO全健協)の「新春 自然食の集い」をのぞいてみた。
会場は、自然食の結婚式で有名な明治記念館(東京・港区)。結婚式の定番メニューは和洋中全一一品だが、この日はそのおなじみのレシピをベースに、なんと和食三五品、洋食一七品、中華八品が揃えられ、それぞれの素材の力比べ、味比べの舞台となった。
とにかくまずはお味見。和食のテーブルから『蛤の土瓶蒸し しゃっきり茸・銀杏・三ツ葉・酸橘』を。最初に舌に感じるのは、品のいい濁りのない素直な味。けれど次に素材それぞれの香り・滋味といった持ち味が立ち上る。
主役のハマグリは錦江湾近く(鹿児島県根占町)から運ばれたもの。養殖だが、錦江湾沖一五〇メートルの海底から汲み上げた深層海水のプールで育てられたという。エサは、自然海中のハマグリが食べているのと同じ植物プランクトン「微細藻」だ。日本のハマグリ消費量は三万トン、そのうち国内生産はわずか二〇〇〇トン。この栽培法は、今後国内生産を高める力になっていくという。
味の決め手となっているのは、純米酒『蔵の素』を料理酒として使ったこと。アミノ酸総量が一般の料理酒の一〇倍、中でもグルタミン酸が一四倍ある。またアルコール度数も一六~一七度と高いので、素材にしみ込みやすく、再びしみ出してくる時、素材のうま味や香り成分を引き出すのだそうだ。
洋食のテーブルからも『無農薬たまねぎとベビーリーフのサラダ』をいただこう。
タマネギは兵庫県淡路島三原町産。真面目な二代目の農家が「力ある土作り」のために、これまでのコメ・レタス・タマネギの三毛作から、コメとタマネギだけの二毛作に切り替えた産物という。さすがに甘くてしっかりした強い匂い、土臭い野菜の存在感がある。
ルッコラ・マスタードグリーン・ホウレンソウなどのベビーリーフは、種をまいて若い芽のうちに刈り取ったもの。ミネラル含有量が成長した野菜よりも三~五倍含まれ、料理時にカットしないので栄養素も流れない。リーフの若いエネルギーをそのまま味わえる。
これに乳酸菌たっぷりの白いヨーグルトドレッシングがかかっている。サラダは、野菜の力強さこそ、と思い知らされる。
自然食、有機野菜というと栄養素や安全が第一で、お味はその次なのではないかという考えを完全に凌駕するものだ。おいしさは素材の力から、「本当においしいものが身体にいい」が正解だ。
●NPO全健協 電話03・3814・6052