おはしで防ぐ現代病:うつ病 青汁ケールに脳神経活動への有効性

2004.02.10 103号 14面

青汁の原料であるケールの成分には、うつ病や不眠症といった脳関連疾患に有益な影響を与える可能性があるという。

(株)ファンケル(横浜市中区、電話045・226・1230)中央研究所は、九州大学大学院動物資源科学部門との共同研究で、青汁の原料・ケールが脳内のセロトニン濃度を高め、うつ病や不眠症・過食症など脳内セロトニン濃度の低下が起こす脳関連疾患に対し、予防・改善効果が期待されるとの研究成果を明らかにした。

実験では、ケールの抽出物をラットに腹腔内投与し、脳内のセロトニン量の変化を調べた。結果、対照群に比べケール抽出物投与群では、セロトニン代謝産物は有意に上昇した。

セロトニンは摂食行動を抑制するといわれており、ケール抽出物の投与が摂食行動に与える影響を検証する試験も行われた。ニワトリヒナを用いてケール抽出物を脳室内に投与したところ、投与後三〇分・六〇分・一二〇分のいずれにおいても摂食抑制がみられた。

この結果からファンケル中央研究所では「ケール抽出物がセロトニン神経活動へ影響しストレスなどによる過剰摂取を抑制したことが確認できた。うつ病や不眠症・過食症などセロトニンが関与する脳関連疾患に対する予防・改善効果が期待される」と考察している。

◆セロトニンの役割 神経の働きコントロール

感情には、脳に約一〇〇〇億個あるという神経細胞が深くかかわっている。なかでもストレスなどの刺激に対して不安や恐怖を引き起こすのが「ノルアドレナリン神経」で、刺激に興奮して喜びを感じる反応を起こすのが「ドーパミン神経」。これらが、喜怒哀楽の感情を支配する中心的な役割を果たし、セロトニン神経はこの二つの神経の働きをコントロールする役割を担っている。従って、セロトニン神経の働きが弱くなると神経系のバランスが乱れて、刺激に過剰に反応し過ぎて、キレたり、パニックに陥ったりする。また、脳内セロトニン濃度の慢性的な低下が、うつ病や不眠症・過食症・依存症などさまざまな疾患を誘引する原因の一つと考えられている。

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