老化防止成分「CoQ10」って何? 細胞レベルから老化を防止

2004.03.10 104号 3面

酸化ストレスを解消するために働く抗酸化物質といえば、ビタミンCやビタミンEなどが代表的だが、最近の研究で、より強力な抗酸化作用が確認されているのがコエンザイムQ10(以下CoQ10)。元々体内にある物質で加齢とともに減少するが、効率よく摂取すれば、弱点を強化し健康維持と老化防止に役立つという。世界中の研究者が注目し、疾病・老化の予防などの研究開発に取り組んでいるCoQ10の正体とは?

CoQ10は、私たちの身体を構成する約六〇兆個もの細胞のすべてに存在する物質。細胞内の小器官ミトコンドリアが、栄養素を燃焼させてエネルギーを作り出す時に、その効率をより高める必須の補酵素がCoQ10なのだ。

成人では通常七〇〇ミリグラム程度のCoQ10を体内に保有しているが、その量は、ストレス・ホルモン濃度・薬物および身体活動状態などのさまざまな影響を受ける。そのため、保有量には個人差があり、CoQ10の多い人ほど元気で、疲れにくい体質といわれる。

細胞内のCoQ10量は二〇歳をピークに加齢とともに減少する。

すると機能が低下し、エネルギーも十分に作られなくなり、疲れやすいなどの症状が出る。

とくに大量のCoQ10が必要なのが二四時間休みなく働く心臓。息切れ・動悸などの症状がある人、「立ち仕事をした後や夕方になると足がむくむ」「階段や坂道を上がる時に息切れしてしまう」という人は、心臓のCoQ10不足による心筋機能低下が心配だ。

また、過剰に発生した活性酸素を分解、無毒化してくれる「抗酸化物質」のうち第一戦で働くのがCoQ10。長年活性酸素を研究してきた東京工科大学の山本順寛教授の実験によると、酸化ストレスを生む脂質過酸化物に対して、ビタミンCと還元型CoQ10が素早く働くことが確認された。還元型CoQ10が存在する間は、脂質過酸化物の生成も抑えられ、さらに同じ抗酸化物質であるビタミンEの作用を助ける働きもあるという。

CoQ10には抗酸化作用のほか、●心臓病のリスクを減らす●血圧を下げる●免疫システムを改善する●ビタミンEの抗酸化の働きを助ける●脂質の酸化防止●動脈硬化を予防する●糖尿病、歯周病を予防する●神経疾患を改善する‐‐などの研究報告が発表されている。

CoQ10は、牛肉・イワシ・ほうれん草・ピーナッツなどに多く含まれており、食物からも補給できる。健康維持や老化防止のための理想的な摂取量は、1日30~60ミリグラム。しかし30ミリグラムのCoQ10を摂取するには、イワシなら約6匹(1匹約80グラム程度)、牛肉なら約950グラムが必要。とても毎日食べられる量ではないし、カロリーなどを取り過ぎてしまう。そこで栄養補助食品などによって効率よく補給をすることが手軽な方法だ。

◆元々すべての細胞にあるから安心 CoQ10誕生の歴史

CoQ10の最大の魅力は、もともと体内のすべての細胞にあるものだから、使用して副作用の心配が少ないこと。研究の歴史について日清ファルマ(株)開発部・久保田浩敬部長代理に聞いた。

「CoQ10が発見されたのは1950年代初期。58年にはテキサス大学のフォーカース博士らが、本格的な研究を開始し、結果、CoQ10が心臓病患者に不足していることや、優れた抗酸化作用があることが明らかにされたのです」。同時に研究に必要なCoQ10の調達が最大の問題となり、この状況を打開し量産化に成功したのが、日本の日清製粉グループの医薬部門(現・日清ファルマ(株))だった。

74年からはCoQ10を医薬品として販売。うっ血性心不全など、心臓病の薬の原料として現在も世界各国に多くのCoQ10を供給するメーカーとして知られる。「サプリメント先進国・アメリカで95年頃から俄然注目され、日本でも2001年、厚生労働省から“食品”としての使用も認められました。海外では医薬用、栄養補助食品のほか、スポーツ飲料や、歯周病予防の歯磨き粉、シワとり効果のあるクリームなどにも利用が広がっています」。

取材協力・資料提供=日清ファルマ(株)

電話03・5282・6530

ホームページ http://www.CoQ10.jp/

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