だから素敵! あの人のヘルシートーク:スポーツジャーナリスト・増田明美さん

2004.06.10 107号 4面

五輪時代から栄養補給のバランスの大切さを認識し、現在はスポーツジャーナリストとして、陸連の役員として、健康な身体作り提案を繰り広げている増田明美さん。春からは『カリフォルニア・レーズン大使』としても活躍中で、そうした立場から先の『14th チャレンジ富士五湖』前日には、117キロもの長距離を走るウルトラランナーたちに、元気いっぱいの熱い応援メッセージを送った。気になるエピソード、食事術を拝聴しよう。

‐フルマラソン現役時代は、どんな選手でしたか。

身体の調整もだけどそれ以上に気持ちの調整が大事、そのくらい気持ちで走るランナーでしたね。前日は、とにかく最高の気持ちで走れるように、心の準備をしていました。どういうことをしていたか、ですか。それはですね、ふふふ。

心のぜい肉を落とすよう、ノートに気持ちを整理して。ちょっとキザですけれど、例えば「明日の四二・一九五キロ。一歩、一歩の道のりに、心のアカを洗い落としながら走りましょう。ゴールはスタート!」なんてね。カッコいいでしょう? まあ、酔ってるわけですよ。「抜かれてもいい。ゴールは自分の内にあるんだ。その後に未来が見えるんだ!」と。そういうマラソンをしたいと思っていたんですよ。

でもね、ひどいんですよ。大阪国際女子マラソンの時なんてすごく清々しい気持ちで走っていたら、沿道から突然、「増田ぁ、お前の時代は終わったんだぁ」なんて声が聞こえて…あらあらあら(笑)。私、がっくりきてバランス崩しちゃいまして。でもそこでどうなるか、なんですね。とりあえずは、いい四二・一九五キロにしたい、全力を尽くそうと。

調子がいい時、耳元で音楽が流れている選手、結構います。私は『天城越え』でした(笑)。気持ちを高める、安心させるものを持つのも一つの手です。音楽とかおまじない、皆さんもランニングパンツにお守りつけたりしてますか。スポーツって最後はそういう部分もあります。もうこれ以上はできないってほど練習したので、後は神頼み。「どうか神様、自分をスタートからゴールまで運んで下さい」と。だからお守りつけている人は、やるだけのことをやった人なんです(笑)。

‐食事の面はどうだったのでしょうか。

たくさんの選手が実践していますが、私も一週間くらい前からカーボローディング(炭水化物蓄積法。マラソン選手などがグリコーゲンを筋肉中に溜め、試合に備えること)はしていました。おモチ四つくらい食べたり、海外には真空パックのお赤飯を持っていったり。

それから現場で失われるものといったらミネラル。私は貧血持ちで、長い距離を走ると特にひどくなる方だったので、鉄分が豊富なものをとるよう心がけていました。レバーがいいとは知っていましたが、食べられなくて。それでとにかく積極的にとっていたのがレーズン、ホウレン草です。

レースが近づくと炭水化物中心にして、日頃の生活では逆にタンパク質を植物性・動物性とバランス良く、それにプラス鉄分・カルシウムを中心としたビタミン・ミネラル類を。海草類、納豆もよく食べました。一五年くらい前の話になりますが、アメリカの選手たちはすでにサプリメントを利用していました。私は習慣がなかったのですが、そういう様子を見て本当にビタミン・ミネラルが競技者にとって大切なんだなと、強く認識しました。

‐一〇〇キロ以上の距離を走る、ウルトラランナーの選手たちへのエールをお願いします。

本当にすごいことですよね。みなさん、ゆっくりゆっくり自分と向き合いながら、楽しみながら走ってらっしゃいます。

ウルトラランナーは、レースで体重が一気に落ちてしまう人は少ないそうですね。それはしっかり食べながら走るからでしょう。フルマラソンでも体重が極端に落ちてしまう走り方は良くないんです。多くは脱水症状からです。身体の声をよく聞きながら走る、素晴らしいことだと思います。ウルトラマラソンに挑戦する人に、お医者様が多いとも聞きます。それはやはり、身体との対話を求めてなんでしょうね。

自分の生活の中にスポーツのある人は、足りないものを吸収してエネルギーに変えていこうといつも思っている。身体作りもそうだし、精神の面でもです。そこが素晴らしいと思います。

●プロフィル

ますだ・あけみ 1964年、千葉県生まれ。私立成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立する。82年にマラソンで日本最高記録を作り、92年に引退するまで13年間に残した記録は、日本最高記録12回、世界最高記録2回更新。現在はスポーツジャーナリストとして執筆活動、マラソン中継の解説に携わるほか、TVではNHK総合『アナウンサーにQ』、ラジオでは文化放送『増田明美のますます健康ツボ押しラジオ』など、多方面で活躍中。日本陸上競技連盟理事。

◆ウルトラマラソンって?

現在、全国でおよそ163もの大会が開催され、100キロまたは60キロの種目に多くの選手が挑戦している。「ゆっくり」を「より長く」が基本でランニングの運動強度は緩やかなことから、比較的高年齢からでも始められ、生涯スポーツ的位置づけにある。早朝のスタートから夕方のゴールまで、70~75%の選手がその距離を完走する。ゴール地点では選手とその応援者たちの感動のドラマが展開される。

77キロ・100キロ・117キロの3種目開催が大きな特徴の『チャレンジ富士五湖』は1990年、タレントの間寛平さんのギリシャスパルタスロン挑戦のトレーニングコース設定を機会に誕生した。

◆『カリフォルニア・レーズン大使』として活躍中!

ホントによくぞ、選んでくれました!小粒でパワフルで、100%天然干し。似てませんか私と、なんて(笑)。でもこんなに長いこと、大好きで信じてレーズンを食べてきたので、嬉しかったんですよ。

ウチのリビングには大きなお皿があって、そこにいつもカリフォルニア・レーズンが入っているんです。原稿を書きながらもつまんで食べられるのが、マラソン本番中の「給食」みたいで。仕事中、シンプルな片手の動きでも栄養を補給できる。1日に40粒くらい食べています。甘いから太ってしまうと思われる人もいますが、果糖なのでコレステロールがほとんどないから大丈夫。ミネラルと果糖が即効性のエネルギーに変わるので、忙しい生活をしている私向きです。

この前、豚の角煮でお砂糖の代わりに入れてみたら、これがまたおいしかった。ヨーグルトやカレー、クッキーやカップケーキの中に入れてもいいですね。

いまでもイベントにお招きいただき、5~10キロ走ることがありますが、疲労を次の日に残さないことを心がけています。それにはカリフォルニア・レーズンの補給がいいんですよ。肌の調子も良くなります。

★『チャレンジ富士五湖』でも「給食」として紙コップ入りのカリフォルニア・レーズンが選手たちに配られた。ウルトラマラソンでは後半になればなるほど、ブドウ糖を効率よく補給しなくてはならない。果糖とブドウ糖が主成分のカリフォルニア・レーズンは、最適の“クイックエネルギー”という。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: ヘルシートーク