気になる話題:「衛益顆粒」と花粉症予防・治療

2005.01.10 114号 5面

アレルギー体質にならないように身体を守る働きを中医学では「衛気(えき)」という。衛気を強める中医学の処方に『衛益顆粒(えいえきかりゅう)』(玉屏風散=ぎょくへいふうさん)があるが、その作用を科学的に検証する実験が北海道薬科大学大学院薬学研究科の鹿野美弘教授によって行われ、結果が日本薬学会で発表されるとともに、学術誌『Biol.Pharm.Buill』に掲載された。

花粉症には、対症療法薬として新薬の抗ヒスタミン剤やアレルギー治療薬がよく使われるが、一時的にその症状を抑える効果はあるものの、根本的な体質改善、治癒にはなかなか至らない。今回の研究では根本的な治療を目的に、モデル動物(1日2回7日間、鼻にスギの花粉を投与して花粉症体質化させた。さらにその後1週間に1回、鼻に1分間花粉エキスを吸引させ、花粉症の症状を起こさせた)を作成し行った。

予防効果確認試験としては、モデルを花粉症体質化する3日前から2週間、『衛益顆粒』(C)や新薬アレルギー剤(D)を投与し、正常群(A)、不投与群(B)と効果を比較した。Dはまったく改善傾向を示さないばかりか、くしゃみの回数が悪化した。CはAに近い結果が得られた。鼻こすり時間もCはAに近い結果になった。結果として『衛益顆粒』は「花粉症体質化」を防ぎ、花粉症にかかりにくい体質にする効果があることが検証された。

回復効果試験としては、モデルを「花粉症体質化」した後、『衛益顆粒』と新薬を投与(花粉を吸引させる日以外)したところ、くしゃみ回数は正常群及び『衛益顆粒』を投与した群は症状が減少したが、新薬投与群はほとんど症状の改善が見られなかった。鼻こすり時間も『衛益顆粒』投与群は正常群に近い結果となった。

実験に対する問い合わせは、日本中医薬研究会(電話03・3273・8891)まで。

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