薩摩のさつまいも伝来300年!
さつまいも(甘藷)はその名の通り薩摩(鹿児島)が発祥の地。もちろん収穫量も全国一。南薩摩は全国でも有数の芋どころと知られている。そのルーツを訪ねてみると…。
江戸時代、薩摩半島南部の山川港は琉球王国(沖縄)との行き来があった。いまから300年前の1705年、漁夫をしていた前田利右衛門はごく自然に航海に惹かれ、琉球に渡った。そこで土地の人々が食べている塊根を大変珍しがり、自分の村でも栽培できないかと3個を譲り受けて郷里へ持ち帰った。農家の出ならではの発想だ。それが味も良く収量も多かったので、またたく間に薩摩全域に広がり、さらに全国へ。27年後、日本は世に言う「享保の大飢餓」に見舞われるが、薩摩ではさつまいも栽培が普及していたおかげで餓死者が出なかったという。
●JA鹿児島県経済連 電話 099(258)5421、URL http://www.oidonkun.com
◆伊藤祐一郎・鹿児島県知事
本年は指宿郡山川町の前田利右衛門氏により、さつまいもが本土に伝来し300年です。
本場「薩摩のさつまいも」をはじめ、旬の「かごしま早生」みかんなど鹿児島の秋の味覚を存分にご堪能下さい。
◆長屋初男・JA鹿児島県経済連会長
鹿児島から全国に広がったさつまいもがいま、収穫真っ盛りとなりました。
生産農家が丹精こめて作った、おいしくて食物繊維やビタミンCをたくさん含む「薩摩のさつまいも」をお届けいたします。
◆本場さつまいも色いろ
●紅さつま
甘味が強く、おいしい、別名「さつま金時」。青果用として大人気。超早堀、早堀に適した品種
●コガネセンガン
食用にも加工用にもの万能型。南九州のさつまいもの中では最もポピュラーな品種。もともとはでんぷんの原料、その他焼酎にも。天ぷらや焼きいもにも最適
●安納紅(やすのうべに)
粘度が高く、蒸しても焼いてもおいしい食用いも。平成10年、在来種から品種選抜され登場。在来種に比べて形状・外観が優れている
●種子島ゴールド
鮮やかな紫色。紫いもの中では甘味がある。平成11年、在来種から品種選抜された新顔
●ハヤトイモ
大正時代から鹿児島で栽培。蒸しいも、焼きいもとして親しまれている。肉色は鮮やかなオレンジ色、カロテンの含有量が多く、甘味の強いやわらかい特徴を持つ
◆さつまいもには栄養がたっぷり!
1.ビタミンB1はさつまいもに多く含まれているビタミンの1つ、糖質の利用を助ける作用がある。不足すると疲労感が増す。
2.食物繊維もたっぷり。腸内をきれいにして、便秘を改善したり、コレステロールを体外に排出するので、大腸がんや動脈硬化の予防に役立つ。
3.ビタミンCはりんごの10倍以上で、イモ類の中でトップクラス。ビタミンCは加熱すると壊れやすいが、でんぷんの働きにより壊れにくいのが特徴。
4.カリウムは米飯の約18倍。塩分を排出するので高血圧にも有効。
5.カルシウムの量はイモ類の中でもさつまいもが多く、特に皮部には肉質部の5倍程度の濃度で含まれる。
◆おいしい食べ方ポイント
さつまいもは、低温でゆっくり加熱すると甘くなる性質がある。これは、でんぷんを分解し、甘みのもとである糖分を作り出す酵素「アミラーゼ」の働きが一番活発になるのが75度くらいだから。さつまいも本来の味を引き出すには少々時間がかかってもゆっくり加熱する調理法がポイント
◆郷土料理「がね」の作り方
<材料(4人分)>
さつまいも………50g
ニンジン…………40g
ゴボウ……………40g
ニラ………………25g
卵…………………1個
小麦粉……………60g
もち米粉…………20g
酒…………小さじ1
砂糖………大さじ1
塩………小さじ1/5
薄口醤油…小さじ1
水…………………少々
揚げ油……………適量
〈作り方〉
(1)さつまいも、ゴボウは5cm長さの千切りにし、それぞれ水にさらしてあく抜きをする。
(2)ニンジン、ニラは(1)と同じ長さに切る。
(3)小麦粉ともち米粉に卵と(A)を加えてよく混ぜる。水を少しずつ入れながら混ぜ、天ぷらの衣より少し固めぐらいにする。
(4)(3)に(1)と(2)を混ぜ合わせ、食べやすい大きさに形を作り、160~170度Cの油で揚げる。
最後に火を強くし、からりときつね色に仕上げる。
※揚げているうちに膨張してくるので、少量ずつ小分けにしてあげるとよい。
◆おいどんの地には健康野菜がいっぱい
●そらまめ
主成分はでんぷんとタンパク質だが、そのほかにもビタミンB1・B2・Cやカルシウム、鉄分が豊富。特に未成熟豆の中ではビタミンB2が最も多く含まれている。ビタミンB2は子供の成長促進のほか、皮膚や髪の健康を維持するためにも欠かせないビタミンだ。
鮮度が命なので、サヤが黒色化していない新鮮なものを。ビタミンB群は紫外線に当たると分解されやすいので、できるだけサヤ付きのものを選びたい。
●かぼちゃ
鹿児島かぼちゃは名人たちの手作り。交配は自然のミツバチを利用し、雌花を雨にぬらさないように、紙袋で1個1個雨よけする。ホクホクしたかぼちゃ本来の味を仕込むために、発酵堆肥を10a当たり2tを投与し、開花から40日で収穫できるものを15日延ばして55日目にハサミを入れている。
カロテンやビタミンCもたっぷり。かぼちゃのビタミンCは熱を加えても壊れにくいスグレものだ。 かぼちゃには収穫後の熟成が必要。ヘタがコルク状になり、縦にひびが入っていて、皮が硬く大きさの割に重い物を選ぶ。
●ピーマン
ハンガリーの学者が発見した「ビタミンC」は、実はピーマンから。中くらいのピーマン4個で1日の所要量をとることができる。一緒に含まれているビタミンPがCを熱や酸化から守るので、炒めてもOK。油を使うと吸収されやすいベータカロテンとの相乗効果で、風邪や多くの生活習慣病予防に役立つ。唐辛子の仲間なので、唐辛子よりは少ないが辛み成分カプサイシンも含み、血管を広げて血行を良くする作用や、食べ物の脂肪分を燃焼させて分解する働きもある。