メタボ対策に再び脚光「地中海式食事法」
野菜中心で、オリーブオイルを料理に多用する、南イタリアなど地中海沿岸地域の人は、心臓病で亡くなる率が低い‐‐約30年前に発表された「地中海式食事法」が、メタボリックシンドローム対策として、いま改めて注目されている。
その内容は左のピラミッドの通り。食の研究をまとめ発信している米国・ボストンのシンクタンク、オールドウェイズのK・ダン・ギフォード代表は「地中海式食事法は、単一の食材や成分だけを取り立てるのでなく、果物・野菜・豆・穀類・オリーブオイル・スパイス・魚・肉・水・ワインなどをおいしく調和させた状態が、身体に良いことを証明したもの。ピラミッドの最下段に“日々の運動”という項目があるのは、健康的な食生活は運動習慣により支えられることを示す。またエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)で調理することで、身体に必要な良質の油脂がとれる。
南イタリアのプーリア州など、いまだ昔ながらの食習慣を守っている地域がある。幸運にもその食事はおいしく手頃で、誰にも手軽に実践できる」。約2800年もの長い間、地中海沿岸地域の食経験が実証する安全な食べ方だという。
◆和食に地中海テイストを “食を大事にする心”も学ぼう
コメを主食とする伝統的な日本食も、健康長寿をもたらす食事法として世界から評価を受けているが、現代日本のライフスタイル、運動不足・ストレス社会で、単純に昔の食環境に戻すことは困難。そこで「和食に地中海式要素をうまく取り入れましょう」と食文化研究家の北村光世さん。
「まず、ピラミッドと自分の食事内容を比べて、野菜や肉類の摂取量を見直してみて。そして料理にはEVOOを使うのがおすすめ。この油には抗酸化物質やビタミン・ミネラルなど多くの成分が含まれ、健康に有用、かつ料理がおいしく仕上がる。揚げ物に使っても劣化が遅く3~5回繰り返し使えます」。
もう一つ、南イタリアの人に学ぶべきは、食を大切にする心。「家族みんなで食に感謝し分かち合い楽しむ時間を、彼らはとても大事にしています」。彩り・栄養・愛情豊かで笑顔を呼ぶ地中海テイスト、ぜひ食卓に取り入れてみよう。