年越しも年明けもそばで祝う そばの正しい食し方(もりそば編)
年越しそば、大晦日(おおつごもり)そば、運そば、世直しそば、寿命そば、縁切りそば、暮れそば等々大晦日に食べるそばの名称は地方により様々だ。さらにその由来はさだかでなく諸説が残っている。
鎌倉時代の一説。年を越せない町民にお上が「世直しそば」と称しそば掻餅を振る舞ったところ翌年から運が向いてきた。同じ理由から運気そば、福そばともいう。
そばは打ち延ばして麺線に切り、長く伸びることから、延命長寿、身代が細く長く伸びるようにと形状にちなんだ説。寿命そば、のびそばともいう。福島県磐城地方では一年の長さをそばにたとえ、長命、繁栄を願ったともいわれる。金の音をさせてからそばを食べれば金銭に不自由しないところから勘定そばともいう。
今年の大晦日、勘定そばの由来にあやかり除夜の鐘を聞いてから「そば」をたらふく食すとしよう。
●作法1‐‐
最も重要なことは、心をそばに集中する。「さぁ、食べるぞ!」とボルテージを高める。なぜならそばは時間がたつと味が半減する。目の前に運ばれたらすぐ食べること。
●作法2‐‐
一箸目はせいろの中央部分から二~三本だけ取り、つゆをつけずにそのまま口に入れる。香り、風味といったものをピュアに味わうため。二箸目で初めてつゆをつける。しかしまだ薬味は入れない。そばとつゆのバランスを味わう。
●作法3‐‐
江戸っ子が死ぬとき、「そばにたっぷりつゆをつけて食ってみたかった」と言う定番のジョークがある。つゆをつけないのがそばを食べるときの基本マナー。最近は辛くて濃いつゆは少なくなったので、そばの先三分(約一センチメートル)にだけつゆをつける「つゆ三分」を厳守する必要はない。が、つゆにそば全部をつけてしまってはうまさ半減。ましてやつゆの中でそばを踊らせるなどもってのほか!
うまいそば。作法を身につけ心して食そう。