現代版“漢方”を徹底研究 日本人は“漢”違いしている? 戒めたい盲目的信仰
「漢方や薬膳のブーム以来、日本人はなぜかこの療法に対し盲目的信仰を持っているようですね。ところが残念ながら、その解釈にはずいぶん誤りがあると言わざるを得ない。たとえば痩身にウーロン茶が効くという情報が流れると、みんなそればっかり飲むようになるけれど、これは身体を冷やす効果があるので障害がでる人もいる。便秘にはセンナといってもセンナを用いてはいけない便秘もある。これは大変強い薬として中国では規制されています。とくに高齢者、子ども、妊婦など身体の弱い人は服用してはいけないのです。知っていましたか」
今回の東洋医学、漢方の特集は、中国は西安の劉大器・長安帝神病院院長の来日中のひとことから始まった。確かに日本人のこの分野に対する知識はあいまいなところが多く、そのくせ「漢方なら副作用的なマイナス効果はない。まず安心」と、根拠もなく思い込んでいるふしすらある。
劉院長はここに強い警鐘を鳴らす。「どんな人にもプラス方向に作用する薬なんてありません。一番大事なのはその療法を受けている本人が、その内容や服用している薬について正しい知識を持つこと。その理解の深度によって、同じ病気の人に同じ処置をしても治るケースと治らないケースが出てくるのです。せっかく漢方療法に関心をもっていただけたなら、ぜひ、もう一歩踏み出して理解を深めてほしいですね」
この言葉を残して、劉院長は西安に帰ってしまった。さてそれでは、漢方療法の真の理解を深めるため、私たちはどうすればいいのだろうか。そこで取材班は本場・中国で療法を修得した都内の二人の専門医をたずねた。