高齢者用商品開発 食品業界の実状 高齢者向け弁当

1997.04.10 19号 9面

高齢者向けに弁当の宅配を行う団体、企業が増えてきた。一般的には宅急便などで毎日配送しているが、効率的でない上、配送コストの負担が重荷になり、弁当の価格に転嫁せざるを得ない状況もある。

大阪食品(株)(大阪市中央区、TEL06・941・8141)は、来年早々から在宅高齢者向けに新含気調理システムを利用して作った弁当を、一週間分まとめて宅配するサービスをはじめる。

弁当は、一般食・きざみ食・ミキサー食の三種があり、高齢者の容態などによって形態を選択できる。

入れ歯の不具合などで、食べ物をよくかんで食べることが困難な人向けに、パサつき感を防ぐための味付けたれを添付するなどの工夫もされている。いずれも一食で三○○キロcal強程度が摂取できるようになっている。

新含気調理システムとは、下処理した食材を滅菌化処理し、パウチ袋に食材と調味料をいれ不活性ガスを充填したものを、煮炊き味付け調理し殺菌する。

常温で三カ月から一年間の保存が可能。レトルトの調理法とは異なり素材の自然の味・色・食感が損なわれず変形や壊れも少ない。完全調理済みで、電子レンジ加熱をしてもそのままでも食べられる。

いわゆる老人病院の入院患者の多くは、高齢ではあるものの健常で食事の問題さえ解決すれば在宅療養が可能なケースが多い。同社では病院給食受託で培ったノウハウを生かし、年内にも宅配弁当の試作品を完成させ、弁当の宅配を実現したい考えだ。

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