食卓にシャンソンを フランスめぐり(その4)
モン・サン・ミッシェルの島での夜。いよいよ、憧れのホテル・テラス・プーラールの中のオムレツ屋さんに入った。
メインはやはりオムレツにきのこソース。デザートも話の種に。きっとカルバドスのきいたりんごのソースだと思い注文。
ところが実際には、残念ながら私たちの期待だけが現実のメニューを通り越していたようだった。オムレツはスフレのように大きくふくらんでいたが、付け合わせのきのこソースはこれをほとんど食べ終わりそうな時に持って来る始末にはガックリ。
ところで、この食事の二時間くらいの間に島の海岸線は満潮になり、さっき通って来た桟橋がピチャピチャと音を立てて海水にひたっていた。一気に勢いよく、打ち寄せてくる潮は、干潮の時より水位が一○㍍くらい高くなるという。実際、さっき最初に駐車した所は水びたし。
あっ! やっぱり正面の道に車を置き換えて良かったと胸をなでおろした。もし、移動してなかったらオムレツを食べているうちに、車が海の中に沈んでいただろう。
夜は私の部屋で、少しおしゃべりをして二人は別室に。「とても恐い」「気味が悪い」と寝るまでうるさかったN子は、横になって三秒で寝息きが始まったそうだ。
朝食の前に少し修道院の廻りを散歩した。海の虫というか、塩の虫というか小さなガがあまりにもたくさん飛んでいて、いまにも目の中に入りそう。おしゃべりしていると口の中に入りそう……。
何だか、長い間の大きな期待が裏切られ続く感じの一泊二日。さらに最悪のことが起きた。一泊三○○フランで予約したホテルが一夜明けて、さあ出発と思ったら五○○フランに変わっていたのだ。
“やられた!” 昨日の女性はいない。別の女性が現れて、もう何を言っても「ここに書いてある」の一点張り。電話、口頭だけで予約した、我々の敗けだ。
こういうホテルは最初に一泊分を支払っておいた方がいいかも知れないと誰かが言った。すったもんだして時間を取られてはいられない。これからドーヴィルに行かなくては。
(シェ・ピアフ主宰 淡谷智)。













