旬の食材:サクラエビ 駿河湾にピンクのじゅうたん 動脈硬化も防ぐ
今回の食材探訪旅行は、旬のサクラエビ漁です。場所は駿河湾の奥に位置する由比。
魚市場の鈴木さんに、サクラエビ漁の話を聞いてみたところ、「きょうが秋の初漁になりそうだ」という。11月の解禁から、雨、風、波で、漁ができずにいたそうだ。
午後1時、組合長の初漁決定が出された。狭いドックからは4時半になるや二隻ずつ並んで総数一二〇隻が、大井川河口辺りへつながっていくと、見ていてもワクワクしてくる。
サクラエビ漁は、春は4~6月、秋は11~12月に限られていて、特に秋漁は新エビなので味も色もバツグンだと自慢する。サクラエビは日中と月夜は二〇〇~三〇〇mの深さにいる。暗夜には二〇~三〇mの上に浮き上って群をなして遊びにくるのを、二隻の船の間に綱を張り獲るのだそうだ。夜明け頃には群れは散って、毎分一・八mの速さで下降して行く。また、厳冬期は夜間でも浮いて遊びにくることはないという。
産卵期は5~10月の長期で、一匹のメスから一五〇〇~二〇〇〇粒が産まれ、一年で親エビになる。毎年10月までは新しい桜エビに交って親エビである「ヒネエビ」が獲れるが、11月になると親エビは全くいなくなり、その年産まれた美しい透明なさくら色をしている新エビばかりとなる。
タウリンとEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)いっぱいのサクラエビが、成人病の大敵コレステロールを下げ動脈硬化を防ぐので、この辺りは元気な老人が多い。生のサクラエビは、一秒を大切に急速冷凍して保存し、刺身や酢の物に、さっとゆでた釜揚げは小さくパックされ「無着色」のラベルを張り、冷凍し出荷。各家庭の食卓をにぎわす。
最後の見せ場は富士川の河口近くの干し場である。花畑のような、ピンクの濃淡を河川敷いっぱいに見ることができる。太陽の下で午後2時くらいまで、富士山の眼前でピンクのじゅうたんがしきつめられるようにサクラエビ干しが行なわれている情景をぜひ想像してください。
(自然色もてなし料理人・田村匡世)
◆桜エビ丼=4人前
◎材料=釜揚げサクラエビ200g、みつば1束、生しいたけ中3枚、卵4個
◎作り方=(1)だし150cc、酒大4、みりん大4、醤油大2、塩少々(甘いのがよい人は黒砂糖を小石1/2加えるとよい)を鍋に入れわかす。
(2)みつばを5センチの長さに切り、しいたけを細切りにして加える。
(3)味をみて桜エビをいれ卵をといて強火で半熟状にまとめ、ごはんを盛った丼の上からかける。
◆桜エビかき揚げサラダ=4人前
桜エビ100g、玉ねぎ中1~2個、さつま芋50g、大根の葉少々、小麦粉、大根200g、わけぎ100g、和風ドレッシング適量
◎作り方=(1)大根は細い千切りにしザルに入れてさっと水洗いして水を切る。
(2)ねぎは斜めにうすく切りザルに入れ水を流し、軽くもんで水を切る。
(3)さつま芋はマッチ棒状に切りさっと水をかけアクをとる。
(4)玉ねぎは細くスライスする。
(5)さつま芋、玉ねぎ、桜エビをまぜあわせ、おたまにのせて170度Cでカリッと揚げる。
(6)器に(1)と(2)をよくまぜて盛り、上に揚げたてのかき揚げをのせ醤油味のドレッシングをかけて食べる。
◎冬の風邪予防に最適です。