おはしで治す現代病:「糖尿病」治療法にも個人差が・・・

1995.12.10 3号 6面

◆「~し過ぎ」の果て

健康とは、誰にも頼らず自立した生活を送れる状態、そしてまた人生を存分に楽しめる状態。病気でつらいのは、まず食べる楽しみを奪われてしまうことだ。まして糖尿病は食事制限が基本なので、一般においしいものは毒として禁じなければならないことも多い。

しかし楽しみがないことで生きがいを失い、さらに病気を治しにくくしていることはないだろうか。

とくに中高年に多い2型糖尿病では、それまでの生活行動が発病の主な原因になっている。

「今まで必死に生きてきた五〇余年の食べ方、働き方、自分のすべてが否定されたような気持ちがして、非常にやるせない気持がした」と語る入院患者も多い。患者のみならず現代の日本人みんなが、何を食べどう動くべきか、途方に暮れ迷っているのだ。

◆自分の現在地を知る

『お酒もご飯も軽く一杯まで、寝る前の間食とたばこは控えましょう』。糖尿病が増加し、合併症の恐ろしさと予防の大切さが連日マスコミで叫ばれる。おかげで“耳年増”は増えたが、はたして実行する人は少ない。

済生会中央病院・糖尿病センターの渥美義仁先生は「とにかく、踏みださなければ始まらない。糖尿病はコワイコワイというだけでなく、即実行してください。自分は自分で守るのが、人生という旅のルール。自分の現在地を知らなければ旅は始まりません。食事法・運動法を見直すよりまず検診を受けてみましょう。ご飯の量もお酒の量も、自分を知ったうえで決まるもの。個人差を無視したマニュアルどおりの目安量を鵜呑みにしても効果は薄い」と語る。

糖尿病の治療食も、予防食も基本は同じ。しかし、すでに糖尿病と診断されている人は、合併症を意識してとくに徹底した食事制限が必要だ。

「医者や薬の力には限界がありますからね。しかし、食に無頓着だった中年男性はもちろん、何人もの子育てをしたベテラン主婦でも案外正しい情報を知らないもの。済生会では二週間の教育入院を設け、病気に関する知識・自己検査法・食事法・運動法など退院後の生活をフォローしています。たとえば食に関しては食品交換表の見方からメニューのたて方、食材の選び方・計り方、食事の作り方、はては食べ方までを繰り返し指導します」(渥美先生)

そもそも糖尿病の食事療法は、インスリンの節約を図り、インスリンの働き不足という体質を補ってあげるのが目的。

「それにはまず過食は厳禁。食べ過ぎ(エネルギーのとり過ぎ)はインスリンの必要性を増すことになってしまう。あとは健康維持のため身体に必要な栄養素を過不足なくとること。食べて悪いものは基本的にはない。問題は食べる量であり、食事の摂り方です」(渥美先生)。

そして何より大切なのは、継続。一人で悩まず家族みんなにオープンに、明るく無理なく、を心がけるのが継続のポイントだ。