消費者と会いたい-生産者からの手紙 ひばりの巣立ち

1998.03.10 30号 13面

ひばりの季節になりました。藤村家のおばあちゃんは芋畑の草取りをしながらひばりの子を見つけました。

「ばあちゃん、母鳥が見とるでよ」「あらら、そら悪かった」、ばあちゃんは子ひばりを高々と持ち上げてから葉の中に返してやりました。母鳥は喜んでせっせとえさを運び、私たちには美しい鳴き声をおくってくれます。芋畑の消毒も子ひばりの巣立ちまでおあずけです。

創食の会のメンバーである木内家の長男は製粉会社で身を粉にして元気に働いていますが、二○年前は大変でした。神戸に住んでいましたが、足に障害があり、固い編み上げの矯正靴を脱いだことのない生活でした。この子が小学校へ上がる頃、一家は脱サラして鳴門へ。百姓を始めた夫婦のそばで、毎日裸足で遊び回り、半年後の検診では医者も驚くほどの治りよう。「鳴門の砂地が足には何より良かったんですね」とのこと。大地の偉大さを痛感、感謝した出来事でした。

佐川家のおばあちゃんはもうすぐ八○歳。ひとりで家族菜園を切り盛りしています。本業の芋と大根以外の野菜はすべてこの菜園でまかなう完全自給。連作障害を防ぐための知恵も大したもので種類も位置も必ず変えて植え付けています。

年寄りの汗や大地の恵みのおいしさを都会の人へと、私たちが送る荷には菜園から獲れたての「気持ち」を必ず添えて喜ばれています。

(創食の会“緑のわ”吉成顕二代表)

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