滋味真求 明治記念館・竹遊林 さっぱり味の本格飲茶

1998.04.10 31号 18面

その昔、竹林に風雅を愉しんだ「竹林の賢人」に倣い、新春早々ブライダルで高名な信濃町は明治記念館の一画に「廣東名菜・竹遊林」がオープンした。

エントランスは篠竹を配した風雅なたたずまいで、店内も竹をモチーフにしたモダンなインテリアである。またフロアは竹板を組み込んだ、何とも凝った作りで、まさにヌーベルシノワ的な趣がある。

調理スタッフはキャリア二十数年の下川料理長を始めとした精鋭揃いで、特に香港より招聘した名点心師・劉樹人氏の作る点心はまさに本場の味である。

午後2時よりの飲茶タイムに行ったが、定番の海老蒸し餃子やフカヒレ入り蒸し餃子は香港の味そのものであり、XO醤海鮮蒸し餃子、小龍包、海老の腸粉も見事なものだ。特にこの海老の腸粉(鮮蝦餃腸粉)という点心は、台湾直輸入の上新粉に叩いた海老を包んで蒸し、上に甘い醤油タレをかけて頂く、手間ひまかけた点心である。都内でもこの点心を出す店は少なく、お年寄りから小さな子供さんまでおいしく頂ける。

中国料理というと何か油っぽい料理を連想される向きもあるが、本場香港の味はさっぱり味が身上である。チルド食品全盛の今日、東京の真ん中で手作りの新鮮な点心が食べられるとは嬉しいことである。

さて、もともと飲茶などというのは読んで字のごとく、広東省のお茶の飲み方、つまりティーセレモニーである訳だが「食在広州」の伝統のように、現在では食べるという意味が強くなっている。しかしお茶をがぶがぶと飲んで点心類を食べる訳であるから、香港人はお茶に関しても喧喧がくがくと、実にうるさい。

その点ここ「竹遊林」では台湾の銘茶・凍頂鳥龍茶や台湾鉄観音、福建省の伝説の岩茶・武夷山岩茶、浙江省・龍井茶などの逸品を揃えているので、お茶愛好家にも満足がいく。

飲茶以外にもランチコース、ディナーコースとあるが、アラカルトも充実し生薬の枸杞(くこ)の実と龍井茶をあしらった芝海老の炒め「枸杞炒蝦仁」や、滋養の山薬と白身魚の炒め「推山炒鮮魚」は、医食同源の伝統を踏まえた斬新な名菜である。支配人の太田恵子さんは薬膳にも造詣が深く、食べる人の立場で料理を考えている方なので、相談すると身体に優しい料理を選んでくれる。

点心は海老の腸粉六○○円、小龍包四○○円、フカヒレ蒸し餃子六○○円。料理は枸杞炒蝦仁二八○○円。推山炒鮮魚二八○○円。ポットで供される中国茶は全品六○○円。ランチ一五○○円。ディナー五○○○円より。

▽席は九○席。小部屋二○席▽営業時間・月曜~金曜、11時30分~22時▽休日・土、日、祝日▽住所・東京都港区元赤坂二-二-二三(明治記念館B1)電話03・3746・7777。駐車場有り。

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