新刊紹介『食品汚染がヒトを襲う』O157からスーパーサルモネラまで

1998.10.10 37号 10面

ここ数年、食中毒のニュースは数多い。本書によればそれは単なる事故ではなく起こるべくして起こった事態だという。実際食中毒は世界中で激増しており、毎年五〇〇万人が死亡、また我々はみな気づかないうちに年に一度くらい、なんらかの食中毒を起こしているというのだ。

食中毒の原因の一つは病原菌自体の変化にある。たとえばサルモネラ菌はかつてから鶏肉に付着していることはあったが、洗えば落とすことができた。だが、現在では鶏との共生を成し遂げ卵巣に住んでいるという。鶏は毎日、生命力を増したスーパーサルモネラ入りの卵を生み、そのひなもまたサルモネラを持つようになる。その結果、半熟部分の残っている目玉焼き、ゆで卵、卵焼きでもサルモネラ中毒を起こす恐れがあるのだ。

また、ラップ包装や真空パックはかえってボツリヌス菌やリステリア菌などの増殖を促すともいう。

本書はこうした食中毒激増の背景を被害者、専門家、行政、業界団体への幅広い取材から探り出し、われわれが知らされないでいる食品業界の闇を暴いた警告の書といえる。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら