飲まれていますトマト・野菜系飲料
トマトジュースを中心とした野菜系飲料が大モテである。メーカー側のPRもさることながら、消費者も、その効果を十分に認識して「どうせ飲むなら野菜飲料」の時代に入ったといえる。ちなみに、業界側の統計では、昨年の野菜系飲料の総供給量は一六万四〇〇〇キロリットルで前年比四〇・二%増。トマトジュースは同九万キロリットル、二八・六%増と高水準。合計二五万四〇〇〇キロリットル。標準の二五〇グラム缶に換算すると一〇億本になる勘定だ。それだけに、供給するメーカー側の品質への研さんはなみなみならないものがある。健康増伸のために安心して希望を持って活用できること請け合いだ。
◎カゴメ
カゴメ(株)の総合研究所(栃木県西那須野町)は、国立医薬品衛生研究所と共同して人参のジュースに、花粉症やアトピー性皮膚炎に代表されるI型アレルギー性疾患の抑制効果があることを突きとめ、そのメカニズムの一部を解明した。この研究内容は3月r日からt日に徳島文理大学で開かれた日本薬学会で発表されている。
I型アレルギーは患者数が最も多く、最近はさらに増加傾向にあり、問題となっている。
安全性と飲用効果が注目されている人参ジュースでその症状が軽減できたり、予防できる可能性が出てきたわけで、現代人には福音といえる。アレルギーを抑制する成分の特定や、体内で働く代謝経路の解明などについても今後、さらに研究が進められるという。
カゴメは、明治年(一九〇七年)に日本で初めてトマトジュースを開発した企業。それ以来、実に一世紀近くにわたりわが国の農産物を加工、それぞれの時代にマッチした食品を消費者に提供し続けている。この間、その原料の生産農家とあらかじめ契約して、その収穫物を一〇〇%引き取る方式を確立、日本の野菜農家の育成といったところでも大きな役割を果たしてきている。
現在、トマト・野菜飲料分野でトップブランドの位置にあり、「野菜と暮そうのカゴメ」を看板に、いまハイテク施設園芸に乗り出している。今秋にはその第一号施設から生食用のトマトが出荷される見通しである。
いままで、小売店のトマト売り場はピンク系の『桃太郎』一種類が幅をきかせており、まったく貧弱極まりないものだった。ヨーロッパでは、大・小・ツルつきなど、さまざまなトマトが並んでいる。
かつて、日本の生食用トマトがそうであった“トマトらしい味”を再び実現してくれそうである。
◎デルモンテ
「デルモンテ」ブランドは世界№1のブランド。野菜と果物の加工技術でトップレベルの実績を持ち、世界八三カ国で親しまれるグローバルブランドでもある。
このデルモンテとキッコーマン(株)との出会いは昭和年(一九六三年)だった。日本の食文化を尊ぶ同社は、これによって日本の食生活の洋風化の流れをとらえようとトマト加工品事業に参入、トマトジュース、トマトケチャップ、野菜ジュースなどを中心にデルモンテ・ブランドの育成に努めている。そして、“We Grow Quality”(私たちは品質を育てます)のスローガンのもとに、トマトに加えてデルモンテの誇る野菜と果物の高い加工技術を最大限に生かした幅広い商品展開を図っている。
同社は、大正6年(一九一七年)の創業以来、「純粋なもの・自然なものを食卓にお届けする」ことを大切にしてきている。八〇年代後半から現代につながる食品に対するキーワードは「安全・安心」、このキーワードに対応するため「有機食品」の研究を続けてきた。そして九七年以降にその第一弾としてデルモンテブランドの有機シリーズ八アイテムを発売している。デルモンテ有機トマトケチャップ二アイテム、ピューレー、ホールトマト、トマトジュース、野菜ジュース、野菜とくだもの二アイテムである。
これらの製造にあたっては米国の有機認証団体であるQAIまたはCCOFの認証を受けている。これらの認証取得には原料から製造工程まで各団体の認証基準に基づいた厳しい品質管理が必要なことはいうまでもない。
有機認証を受けた原料とは、栽培する農地は三年間にわたり化学合成農薬・肥料を使用しない経過期間をおく必要があり、栽培にあたっても化学合成農薬・肥料を一切使用しないことが義務付けられている。さらに品種の選定や土壌の管理など厳しい基準をクリアした農地で栽培されることが必要となる。“まっさら”の原料、加工工程を経ているわけである。