百歳への招待「長寿の源」食材を追う「ネズミモチ」補肝臓など薬効

1999.07.10 46号 11面

女貞子は中国語で「ニュゼェシー」と呼ばれ、日本ではネズミモチの名前で知られている。両国ともに十数種の別名を持っている。

モクセイ科の常緑樹で高さは最大で二メートルくらいまで育つ。性状として温暖の地を好み、日本では関西以西の山地に自生し、中国では浙江・江蘇・湖南・福建省などが産地として有名。

性状は強く種子をまいただけでもよく育ち、十分な苗が得られ、それを本植えすればよい。栽培管理は容易といえよう。

秋に入ると実が熟し、この実は粉をふいたような黒色で、日に当たった側は紫色に変わる。形状は長だ円形で、ネズミのフンによく似ているのでネズミモチの名前がつけられた。

ところが中国では実・葉・樹皮・樹根などすべてが漢方薬材として高く評価されている。女貞子の名前がつけられたのは、常緑で冬でも緑色を保っているところから「守貞の女子=女貞子」と名付けられた。相当の高い評価で、日・中の考え方には大きな差がみられる。

中国の女貞子は一〇メートルに達する巨木となり、実の大きさは一センチ強もあり日本産より倍近く大きい。この実の成分はウルソール酸・アルチルオレアノール酸ほか多くの有効酸がみられ、樹皮・葉にも配糖体のシリンキンほかがみられ有用である。

日本産のネズミモチの実を煎じて飲むと、強心・利尿・緩下作用があり強壮剤としてよいとされている。更に生理不順・目まい・かすみ目・胃腸のもたれによく、女性の若白髪・腰や膝のだるさなどの疲労倦怠を取り去り益母草とともに強い女性の味方でもある。

中国での女貞子の評価はもっと高く、補肝腎・補腰膝・壮筋骨・強陽腎・鳥髪(頭髪を黒くする)を始め、神経衰弱を治し、風邪や赤眼、結核性潮熱にもよいとしている。煎液は内服を、眼は点眼することとある。

そのほか老人性白内障の初期によい。明目止泪の作用があり、便通を整え、疲労倦怠ほかの薬効がみられる。老化予防にも効果的。

女貞葉も漢方薬材である。別名冬青葉・土金剛葉・爆竹葉などと呼ばれているが一年中採取可能。配糖体のシリンギンが多い。

効能として 風(熱を下げる)・明目・鎮痛・消腫・口腔炎・止吐血・止咳 などと広い範囲に効果がみられる。

また殺菌力も強く、歯痛や口腔炎などによい。新鮮な葉をやや濃い目にして煎液を作り一日三回服用すると止痛の効果は大きい。

女貞皮も薬用として利用。樹皮であるが常時採皮でき慢性気管支炎に効く。樹皮(乾燥品であれば半量)一六〇グラムを細かく切り煎じて一日三回に分けて服用。砂糖の添加も可。

女貞根も薬材として利用されている。ただし採取は9月から10月にかけて。気血を散じ、咳 によく、女性の白帯にも効果大である。

薬膳食法として女貞子酒は強壮・腰膝の酸痛によく、薬粥として二妙粥・煕春粥・補腎鳥髪粥の重要な食材として評価が高い。実・葉・樹皮・根すべて利用、価値の高い植物である。

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