旬の食材:オホーツクのワカサギは早起きだ

1996.02.10 5号 18面

網走からバスで一時間半。オホーツク海の流氷を見て、雪の山中を走り回る鹿に出会ったりして、冬の阿寒国立公園についた。広い阿寒湖の氷の上に、テントが二つ並んでいる。朝のテントの中は、おもいがけず温かかった。わかさぎの刺身を初めて食べた。味が濃く、甘さを感じる。ストーブの上で焼いたわかさぎは、香りがあり、脂があっておいしかった。

マイナス二〇度近い寒さを感じさせない感動の食材と人との出会いが始まった。

カチカチに凍って氷の厚さが三〇~四〇センチメートルもある氷に数カ所穴をあけて、釣り糸をたらす。釣り糸には針が六個もつけられている。凍りついてしまわないように、時々竿を動かしたり、お湯をかけることが必要だ。

阿寒湖畔住人の釣り人二人はともに、定年退職後で七二歳と六七歳。A氏は病気をして、いまは人工肛門をつけているという。

「一人ではつまらないし何かあったら困ると家族はいうけれど、仲間がいるから安心。話相手、競争相手にもなるので楽しいよ」と話す。

二人は毎朝6時に出勤し夕方4時に帰る生活を冬の期間中続ける。毎日みんなが魚を待っているので、バケツにいっぱい持って帰って夜は宴会をあちこちでする。だから、休むことはないと言う。

湖の朝は7時のチャイムの音楽に始まる。メロディーが流れると一斉に釣竿がピクピクと動き出す。

一本の竿に五~六匹かかるので、とりはずすのも大忙しになる。寝ているわかさぎが音で目を覚まして、あわててエサにくいつく姿が想像できる。あっという間にバケツの中がいっぱいになっていく。

通りがかった観光客へ、天然わかさぎの試食パーティーをモーニングコーヒー付きでサービスする。時には電気ソリで遠くへ出掛けてマスを釣ったりもする。毎日朝食と昼食はテントで料理、健康を確認しながら生活を楽しんでいる感じだ。冬が終わると根室海峡でタコ釣りを日課にするという。

大きなタコが釣れるので面白いよと嬉しそうに話している笑顔は、とてもその年齢には見えなかった。

◆わかさぎのねぎ和え=風邪予防に最適

わかさぎ200g、ねぎ100g、ゴマドレッシング1/4カップ、強力粉1/4カップ。

(1)ねぎは長さ5センチメートルの細切りにして水で洗い絞る。

(2)わかさぎに強力粉をつけて中温であげる。

(3)ボールにわかさぎとねぎを入れゴマドレッシングで和える。

◆ゆずみそ焼 わかさぎ200gゆずみそ1/4カップ、塩少々。

〇わかさぎは塩を軽くふりオーブン220度で5分間焼く。

ゆずみそをつけて食べる。

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