自由時間術:オリエンタルハーブのある生活

2000.03.10 54号 5面

ミントやタイムなどのヨーロッパのハーブティーはすっかりお馴染みになったが“オリエンタルハーブ”となると、どうだろうか。考えてみれば東洋には漢方薬に使われている特別な野草や生薬がたくさんある。それをお茶仕立てにして日常生活にお洒落に取り入れられたら素敵だ。今回は市販のものの中から体質のタイプ別にセレクトし、さくら堂治療院の中医師・邱紅梅さんに話を伺った。

漢方といえば元気が出るもの、いわゆる滋養強壮作用のあるものとして「人参」系が有名だが、その人参の仲間でも身体を温めるもの、冷やすもの、いろいろあるという。

「西洋人参茶は涼性なので身体を冷やします。だから別名はクール人参。身体の中の気と体液が不足がちな人に水と力を補給します。頭を使う仕事の人、ともすれば頭に血が上りやすいタイプの人にぴったり」。中国では糖尿病や放射線治療の後にも使われているそうだ。また、水分補給の結果、肌が綺麗になるので美人茶ともいわれている。

「シベリア人参茶は身体を温めます。精神安定作用があるので、転勤や引っ越しなど春の環境変化や人間関係のストレスでちょっとウツ気分の人にお勧めです」。自律神経失調症や不眠症、多夢症などの症状改善も期待できるので、天然のメラトニンと呼ぶ人もいる。

「田七人参茶はけっこう有名ですね。身体をやや温め、何より血行を促進します」。心筋梗塞・狭心症などの心臓疾患、脂肪肝・肝硬変などの肝臓疾患が心配な人にいいという。

抗ウイルス、抗菌などの作用が期待できるのが、板藍茶と五行草茶だ。「ともに身体には涼性に働きます。板藍茶は主として上半身のウイルス感染症に有効なので、インフルエンザの予防などに最適です。五行草茶は主として下半身の抗菌パワーに役立ちます。膀胱炎や腸炎、食中毒による下痢などの時に役立ちます」。

食べ過ぎ、飲み過ぎの時の消化促進にいいのが三仙茶。これまでのお茶は単品の生薬を材料にしたものだが、これはサンザシ・神曲・麦芽の三つの生薬で作られている。「身体をやや温める作用を持ちます。腸に残ったものの消化剤として働くので、宿便対策にもいいですね」。長期に使えば健康的なダイエットや皮膚病の改善にもなるという。

こうやって話を聞いてみると、自分に合うもの、毎日飲むといいだろうなと思うもの、いざというとき用意しておいた方がいいと思うもの、いろいろある。何より、お茶を飲むことで徐々に体質改善できれば嬉しい。最初はこうした市販品で始めて、知識を得たら生薬を自分でアレンジするのも楽しそうだ。

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