百歳への招待「長寿の源」食材を追う:カシューナッツ

2003.03.10 91号 11面

アーモンドの歴史は古く、味が良いので“ナッツの女王”とも呼ばれる。ヨーロッパから米大陸に伝えられ大成長をみた。やや高級食として自然食・美容食視されている。カシューナッツは熱帯圏が特産。最近は中国での生産が急増している。口にソフトでつまみに人気だが、利尿・虫歯・糖尿病・高血圧に良い。(食品評論家・太木光一)

カシューナッツの外観は曲玉(まがたま)のような形で、ソフトで柔らかく味が良いので人気の高いナッツだ。原産地は西インド諸島・中米で、現在の主産地はモザンビーク・タンザニア・ケニアなど東アフリカ諸国とインド・ブラジルなど。

ウルシ科の植物で高さ一二メートルにも達する。実は花梗部分をカシューアップル、その先の殻の部分をカシューナッツと呼んでいる。一般に果実の種子は果肉の中にあるが、果実のしりの部分に一粒のナッツがぶらさがり、その形はなた豆にそっくり。

果実が熟すと鮮紅色または黄色に変わる。果肉はやや酸味があるが食べることができる。カシューナッツは二重の殻に覆われている。この殻には非常に苦い油分があり、カシュー塗料として使用されている。熱帯圏が特産だが、最近は中国の台頭が著しく、生産量が伸びている。

カシューナッツは、口にするとソフトで淡い甘味と脂肪分が融合、その味はピーナッツやアーモンドに優る。主として酒のつまみやデザートに、また製菓材料として使われている。特に中国では炒め物として喜ばれ、カシューナッツの生産に力を入れているのが理解される。消費国はアメリカ・ロシア・カナダ・中国と続く。

この栄養価(一〇〇グラム当たり)をみると、五七一キロカロリー、水分四・一%、タンパク質一九・六%、脂質四七・二%、糖質二五・四%、繊維一・〇%、灰分二・七%。無機質ではカルシウム三八ミリグラム、リン四九〇ミリグラム、鉄四・九ミリグラム、ナイアシン〇・九ミリグラムとなる。

ナッツ類の中では抜群に糖分が多い。比較すると、ヘーゼルナッツの一七・七%、松の実の一七・二%、ピーナッツの一六・四%、アーモンドの一六・九%、ペカンの一〇・〇%、くるみの一〇・三%、ブラジルナッツの五・七%となる。

中国では、カシューナッツに対する国民の嗜好性と利用度の高い点に目をつけ、自国生産に踏み切った。海南島・広東・広西・福建・湖南など南部地域を選定し栽培に着手。特に海南島には最大の栽培地が用意された。

この理由としてカシューナッツは非常に経済価値が高く、果実として食べる以外に、高級樹脂・油漆・黄色塗料として広く利用されていることがあげられる。果実自体にも利尿効果が大きく、虫歯予防効果や糖尿病治療にも期待されるという。そのほか高血圧・頭痛を抑える効果も大きく、“天賜神粮”の別称もみられるほどだ。

また日常の料理素材として愛用され、冷菜の「酥腰果仁(スウ・ヤオ・グオ・レヌ)」は湖南料理として砂糖煮してから油で揚げる。炒菜の「腰果肉丁」は豚肉と、「炒双腰丁」は豚の腎臓とともに加える素材として、ファンが多い。

日本でも、すりつぶして醤油や砂糖などを加えた和え物は新しい味として喜ばれ、今後も需要開発が期待される。

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