ヘルシートーク:作曲家・舞台音楽家・宮川彬良さん

2014.08.01 229号 05面

 数々のミュージカル・舞台音楽を手掛け、NHK Eテレ「クインテット」やアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の音楽担当、「マツケンサンバ2」の作曲家としても知られる宮川彬良さん。また、長年暮らしている世田谷への地域貢献として、せたがや音楽研究所の所長として音楽の魅力を伝えています。音楽研究所や作曲活動のこと、日々の食事のことについてお聞きしました。

 ◆ベートーヴェンから聴き解く 音楽は暮らしの知恵の集合体

 「クラシック音楽」と聞くと、高尚なイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、音楽とは本来、私たちの日常と縁遠いものではなく、いわば“暮らしの知恵の集合体”のようなものです。

 例えばベートーヴェンの「運命」のように、ジャジャジャジャーンと下がっていくメロディもあれば、「第九」のように上がったり下がったりを繰り返すものもあります。それはまるで上下する株価や芸能人の人気のように、身近な景気動向や社会現象に似ていると思いませんか?

 もっと言えば、主旋律だけ目立っていてもつまらないので、時にはハーモニーになったり、他の旋律と主張し合ったり、譲り合ったりする。作曲をしていると、バランスを取ることや協力・共存し合うことの大切さが分かってきます。物事を俯瞰して見たり考えたりするようになるんですね。「人間も強欲過ぎると破滅するなぁ」とか「バランスや共存の道が大切なんだ」など、だんだん達観してくるんです。

 きっとベートーヴェンも、世の中の普遍の法則や人間の本質に気付いていて、目には見えない大切なことを音楽で伝えたかったのだと私は思います。政治家でも文筆家でもない彼がしたことは、あの時代に音楽を使って、あの手この手で人間の欲や業、見えている世界を映し出すこと。だからこそ、ここまで神格化される作曲家になったのでしょうね。

 ◆せたがや音楽研究所へようこそ! 地元で音楽の裾野を広げたい

 せたがや音楽研究所は、所長である私が、みなさんになじみの深い曲を奇想天外かつ独自の切り口で分析する音楽バラエティ・コンサートです。

 初回は「宇宙戦艦ヤマト」のテーマソングの生みの親であり、私の親でもある宮川泰の音楽世界をひも解きました。そして10月の第2弾のテーマは、ベートーヴェンの「運命」と「第九」。難しい話は抜きにして、同じ作曲家の立場からアプローチできることを、楽しくお伝えできればと思っています。

 この研究所を始めたきっかけは、僕が世田谷にご縁があるから。これまで、子どもたちと演奏するオーケストラや、親子で楽しめるコンサートを全国でたくさん開催していたのですが、子どもの頃から暮らしている地元・世田谷で、音楽の裾野を広げる機会がなかなかありませんでした。

 それで、せたがや文化財団に「僕にご用はないでしょうか?」と伺ったところ、「もちろんあります!」と(笑)。ただ、世田谷には音楽ホールがないので、本格的なコンサートをするのは難しい。何度も話し合って、「そうだ、研究所にしよう!」「ゲストも過去の偉人(故人)を呼べば、無料出演だ!」と盛り上がっていったんです。“音楽で楽しく元気に!”が研究所のコンセプトなので、今回も、音楽を通じてみなさんと愉快なひと時を過ごせたらと思っています。

 ◆名もない野菜の大きなパワーにロマンを感じる

 私は地方公演などがない限り基本的に外食はしないので、野菜たっぷりの食事で豚・鶏・魚料理をローテーションすることが多いです。実は私、お腹がすくと耳が聴こえづらくなるのです。ほら、飛行機の中で起こるあんな感じ。これは私にとっては大変な問題です。だから、公演や作曲活動の前はしっかり食事を取ります。

 朝食は決まって、特製サラダとパンです。トマトとアボカドをベースに、ブロッコリースプラウトやバジルなどを入れ、チーズを削ってバルサミコ酢とオリーブオイルをかけていただきます。自分でも作れるので定番になりました。

 リンゴや夏みかんなどのフルーツに、セロリやしそを入れて作るスムージーもおいしいですね。健康診断の数値も良くなり、「スムージーのおかげかな?」と思っています。家のベランダではバジルやしそ、パセリを育てていて、サラダなどに加えることが多いです。オリーブの木にも挑戦していますが、実のあく抜きが難しいですね。

 ねぎやしいたけは香りが良く、ずっと嗅いでいたくなります(笑)。風邪をひいた時にねぎをむき、胸の中にスーッと刺激臭が広がる感覚がたまらなく好きなんです。しょうがも少し食べるだけで、足の先までぽかぽかになる。

 野菜って不思議ですよね。皮をむいたそら豆の、ちょこんと出ている胚芽部分も愛おしいなぁって思うし、少しほろ苦い白菜の煮びたしも好きなんです。産地にこだわるというよりは、「名もない野菜君たち」が大きなパワーを持っていることにロマンを感じます。

 ●プロフィール

 1961年東京生まれ。東京藝術大学在学中より、劇団四季や東京ディズニーランドなどのショーの音楽を多数担当。その後、「ONE MAN’S DREAM」「身毒丸」「星の王子さま」などのミュージカルや舞台音楽を手掛け、2005年「ハムレット」(再演)で第12回読売演劇大賞・優秀スタッフ賞など数多くの賞を受賞。2004年に作曲した「マツケンサンバ2」が大ブレイク。2012年からはアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の音楽を手掛ける。舞台、コンサート、テレビ、ラジオなど多方面で活躍中。

 ●宮川彬良のせたがた音楽研究所#2

 2014年10月19日(日)17:00開演(16:30開場)

 せたがや音楽研究所とは、宮川彬良(アキラ所長)がアカペラ・ヴォーカルグループのINSPi(研究員)らとともに、奇想天外かつ大マジメな音楽解釈で音楽のおもしろさを紐解くバラエティ・コンサート。2回目となる今回は、誰もが聞いたことのある作曲家・ベートーヴェンの「交響曲第5番(運命)」と「交響曲第9番」を大分析!『ベルサイユのばら』の作者、池田理代子さんをゲストに迎え、敬愛するベートーヴェンの話をたっぷりお届けします。

 主催:(公財)せたがや文化財団 音楽事業部

 【チケット】

 全席指定/一般2,500円/せたがやアーツカード SePT友の会2,000円

 ※未就学児入場不可

 【チケット取り扱い】

 世田谷パブリックシアターチケットセンター

 TEL 03-5432-1515(10:00~19:00)

 世田谷パブリックシアターオンラインチケット(※要事前登録)

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