「天皇の料理番 秋山徳蔵 メニューカード・コレクション展」2016年3月11日まで

2015.12.01 245号 07面
「大礼」のテーブル。左手前が「ザリガニのポタージュ」。中央右側にサラダが見え、野菜好きとしては興味深い。これは国立公文書館資料所蔵資料によると東京新宿御苑産の萵苣(ちしゃ)

「大礼」のテーブル。左手前が「ザリガニのポタージュ」。中央右側にサラダが見え、野菜好きとしては興味深い。これは国立公文書館資料所蔵資料によると東京新宿御苑産の萵苣(ちしゃ)

 公益財団法人味の素食の文化センター(東京・港区)では現在、「天皇の料理番 秋山徳蔵 メニューカード・コレクション展」を開催中。

 今年、TBS系でテレビドラマ『天皇の料理番』が放映され話題となりましたが、主人公・秋山篤蔵は、宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵がモデル。味の素食の文化センターは一昨年、秋山氏の親族から明治から昭和の食を伝える多数のメニューカードを寄贈されました。今回の展示は、秋山氏が生きた時代の食文化の一端をさまざまな視点で閲覧することができます。

 ●「大礼」の響宴も再現

 展示内容は、(1)秋山氏の生涯を出生地越前市の武生公会堂記念館から借りた資料。(2)秋山氏が収集したメニューカードから厳選したもの。(3)大正天皇御大典の晩餐会メニューの再現料理サンプル。(4)秋山氏の著書、直筆原稿・サイン等。(5)秋山氏と味の素社の接点等–で構成。

 中でも圧巻なのが、大正4年に行われた大正天皇即位の「大礼(たいれい)」の響宴を再現したテーブル(レプリカ)。秋山氏は大礼を一世一代の大仕事と捉え、「滅多に味わえぬ珍味を一品はつけたい」との思いで徹夜を繰り返し、1カ月かけて渾身のメニューをつくり上げました。コース全体の良し悪しを決定づけるスープ2品目を「ザリガニのポタージュ」とし、これが舌の肥えた賓客の心をつかみ取ったと伝えられています。

 ●「日本の食の道程」を学ぼう

 秋山氏は宮中饗宴におけるフランス料理を劇的に変えたとされています。それまでは、高級素材を惜しげもなく使った豪華な料理を「これでもか」と並べ立てるのが常道でしたが、同氏の料理は、もっと軽やかで繊細なものだったとされます。それは現代の私たちが親しむフランス料理へつながる波と考えられるでしょう。

 そうした日本の食の道程がじっくり学べる企画展となっています。

 ◆「天皇の料理番 秋山徳蔵メニューカード・コレクション展」

 主催:公益財団法人 味の素食の文化センター

 後援:味の素株式会社

 TEL:03-5488-7318

 toiawase_asb@ajinomoto.com

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