百歳さんこんにちは:神奈川県・中川正江さん(100歳)
今年1月、100歳を迎えた川崎市在住の中川正江さん。太平洋戦争で若くして夫を亡くし、一児を抱えながら女手一つで理容店を営み、“働くことが元気の源”を自ら実証してきた。「手に職があったから、何とか食べるには困らなかったけれど、親子で苦労してきました」と振り返る。
●夫は30歳で戦死
溝の口駅南口から徒歩5分ほど、洗足学園近くにある「ヘアーサロン中川」は、地元では気さくで家庭的な理容店として知られている。正江さんは、一人息子の洋さん、その妻のシズ子さんと3人で暮らしている。
正江さんは10人兄弟の長女。理容師だった父の後を継ぎ、20代で現在の地に理容店を構えた。ほどなく小学校の同級生だった夫と結婚。ようやく子どもを授かったところに戦争が始まり、夫は海軍に召集されサイパン・テニアン島で戦死した。享年30歳。洋さんは父親の顔を知らない。正江さんの結婚生活も短かったが、「主人は優しい人だった」と語る。
●一人息子と二人三脚
戦後は理容業に奔走。「当時は、洋に買い物を言いつけたり、私は店でお客さんの散髪をやりながら、洋にごはんを炊かせたりしてきました。昔の床屋の鏡は大きくてよく見えるから、“そこで火を止めて”などと指示したものです」。
いまでは洋さんが後を継ぎ、妻のシズ子さん、孫の崇さんも店を手伝っている。正江さんは65歳までハサミを持って働き、理容師としてのキャリアは50年に及んだ。
●栄養バランスが健康の秘訣
正江さんはいまだに補聴器要らず。通常のメガネを使い、歯もしっかりしている。軽やかな語り口は年を感じさせない。
好きな食べ物はトンカツと野菜で、「揚げたてのトンカツは絶妙。野菜は何でも好きで、ほうれん草、小松菜、いんげんをゆでたり、桜エビ、たまねぎなどでかき揚げを作ったりしました。いまはシズ子が野菜を煮てくれるので、おいしくいただいています。朝食はトーストにレタス、きゅうり、ハムをのせたのがお気に入り」と話す。
甘い物はあまり好きではない。栄養バランスの良さが健康の秘訣のようだ。血液検査もコレステロールなどは基準値内で医師がびっくりするほど。お酒は飲まずにきたが、最近になって家族と一緒にビールをグラス半分ほど飲むこともあるそうだ。
*
あなたの周囲の元気な99歳(白寿)以上の方をぜひご紹介ください。百菜元気新聞編集部TEL03・6679・0212