百歳さんこんにちは:東京都・日野原重明さん(100歳)
聖路加国際病院の日野原重明理事長は、10月4日に百歳を迎えた。現役の医師であり、その一方で多くのボランティア活動にも精力的に取り組んでいる。スケジュールは“分単位”という超多忙な百歳人。アンチエイジングのお手本のような生き方を貫いている。
◆病気が私に音楽を与えてくれた
日野原さんは1911(明治44)年、山口県に生まれた。「10歳の時に腎臓を患い、京都大学1年の時には肺結核になりました。病歴は長いです。中学の頃は、百歳まで生きられるとは夢にも考えませんでした」と、しみじみ語る。
「腎臓を患った時は運動を止められていたので、母がピアノの先生をつけてくれて4年間学びました。中学になってから、ベートーベンやショパンを独学で勉強しました。肺結核になった時は自宅療養を余儀なくされましたが、24歳の時に作曲の勉強をし、その時に作曲したレコード(CD)がいまでも売られています。神の恩寵をいただき、病気にならなければ私に音楽はなかったのです」
病歴を経て独自の音楽の世界を広げていった。
◆情熱を出せば自然と百歳になる
日野原さんの健康の秘訣は「新しいことに挑戦していく生き方」に尽きようか。「いままでやったことがないことを積極的にやることです。わたしは、ミュージカル“葉っぱのフレディ”の演出を90歳の時に依頼され、それを現在まで続け、舞台にも出ています。音楽のほか、書、絵画、俳句にも趣味を広げています。秘められたパワーを引き出すことが、人生に対する挑戦です。人は情熱を出すことによって自然に百歳になるのです」。含蓄のある言葉だ。
長寿の条件については「まず、遺伝子があるかどうか。そして、50~60歳になったら、生活習慣によるところが大きいのです」。生活習慣とは「30歳の体重を維持すること。私はこの30年間、摂取エネルギーを1日1300kcalに抑えています。脂肪のない肉を週に2回、そして、魚を毎日食べています。朝は牛乳と、野菜ジュースにオリーブオイルをスプーン1杯加えて飲みます。オリーブオイルは動脈硬化を抑え、心臓病に効果があります。それから、ブロッコリーはビタミンBが豊富なのでおすすめです。ただ、私は仕事が忙しいので昼食は牛乳とビスケット2枚ほど。その代わり、夕飯は野菜をたっぷり取り、バランスのよい食事をしています」と自身の食生活を分かりやすく説明する。
◆人生の最期に感謝の気持ちを持ってもらう
日野原さんは、末期の患者を診察する時、必ず患者の手を握る。「手を握りながら、目の奥に生きる力を感じるのです。最期に感謝の感情を患者に持ってもらうことが大事なのです」。医師としてではなく、宗教者の心で患者を看取っているのだ。
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