ヘルシートーク:理学博士・和合治久さん

2020.11.01 304号 03面

れんこんパワーで病気をはじき出す!粘膜力でぜんぶよくなる

れんこんパワーで病気をはじき出す!粘膜力でぜんぶよくなる

 ◆免疫力=粘膜力!ウイルスを寄せつけない「れんこん」習慣

 免疫力を高めるために大切なことは何でしょうか。理学博士・和合教授の研究によると、大切なのが粘膜ケア。粘膜が健康なら、唾液や鼻水、涙、痰などの粘液が出て、病原菌を寄せつけることはありません。粘液には身体を守るムチンといった防御物質が含まれ、ウイルスや細菌を撃退します。免疫について長年にわたって研究してこられた先生に、免疫力を高める生活術を伺いました。

 ●免疫力アップの鍵を握る「粘膜力」 お肌の乾燥やドライアイには要注意!

 日本には残念ながら、新型コロナウイルスに対するワクチンも抗ウイルス薬も現時点では存在しません。

 どうすれば、この未知なるウイルスに負けない生活ができるのでしょうか。

 私は40年以上にわたって免疫の研究をしてきました。免疫機能がしっかり働いていれば、病気を遠ざけられます。逆に、免疫力が落ちると細菌やウイルスに感染しやすくなります。

 研究の結果、私たちが病気にかからず健康でいられる免疫の鍵を握っているのは「粘膜」であることが分かりました。実は、インフルエンザや花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ドライアイ、ドライマウス、便秘、不妊など、これらすべては、粘膜の力が弱まるとかかりやすくなる病気です。

 粘膜はたった0.5~1mmほどの薄さですが、病原体の侵入を防ぐ働きのある「粘液」を分泌します。粘膜は、口の中から喉、鼻の中、気道、胃や腸、肛門まで、人間にとって非常に重要な部分を覆っています。

 粘膜から分泌される粘液には、ムチンや分泌型IgAといった5種類の防御物質が含まれます。空気や食べ物などと共に、ウイルスや細菌などさまざまな異物が口から入っても、粘液が“第一バリア”となって身体を守っているのです。

 例えばこの防御物質の一つであるムチンは、細菌やウイルスが粘膜に付着するのを防ぎ、体外に排出します。

 ●「粘膜力」を高める食材は? その最も効果的な食べ方をお伝えします

 最近、食べ物を飲み込むのに苦労する、あるいは目がよく乾くといった症状はありますか。人は年をとるごとに、身体中の粘液の分泌が減っていきます。

 粘膜力が高ければ、ウイルスや細菌が口から入っても唾液や鼻水でやっつけて、喉に入れば痰として体外に排出します。それがカサカサ粘膜だと、ウイルスや細菌を撃退できず、感染しやすくなるのです。

 では、どうしたら「粘膜力」を高められるのか? 粘膜力と免疫力を高める最強の食材、それがれんこんです。古くから民間療法として咳止めなどに使われ、漢方医学では「潤いを補い、血行不良を改善」とされています。れんこんに含まれる、糸を引く「ネバネバ物質」が粘膜力をサポートします。

 効果的な食べ方は、表面をよく洗い、皮つきのまま薄い輪切りにして酢水にさらし(水溶性のため長くつけない)、そのままサラダで食べる方法です。れんこんに含まれるフラボノイドは、抗酸化作用や抗炎症作用、抗アレルギー、止血・殺菌作用があります。

 直径7cm、厚さ2cm程度を毎日、習慣的に取るのが効果的です。手軽に成分を補給するなら、れんこんをパウダー状に。作り方は、皮つきのまま2mm程度の厚さに輪切りにし、2、3日天日干しにしてカラカラに乾燥させ、ミキサーで粉末状にします。

 コップに小さじ1入れて、70℃以下のお湯を注いで毎日飲むと、病気の予防につながります。作り置きして保存容器に入れておけば、いつでもみそ汁やカレーなどにふりかけて食べられますね。

 ●「粘膜力」を減少させる緊張や不安 リラックス作用が高いのは、音楽です

 ここで、自分の粘膜力をチェックしてみましょう。

 □平均睡眠時間は6時間以下

 □目覚めが悪い

 □疲れが取れにくい

 □運動不足

 □肌が乾燥する

 □便秘気味

 □心配事や不安なことがある

 いかがですか? 実は、粘膜力は自律神経と深く関わっています。粘膜は、交感神経(活動モード)が優位になると粘液が減り、副交感神経(リラックスモード)が優位になると、粘液の分泌が増えることが分かっています。

 粘膜に悪影響を及ぼすのが、不安・悲しみ・恐れの3つです。特に38歳を過ぎる頃から、身体は交感神経が優位になりやすくなります。ましてやコロナ禍では、いつどこで感染するか分からない不安や恐怖心で、交感神経が優位に偏りやすくなっています。

 粘膜ケア法を2つ紹介しましょう。一つは、よく噛むこと。唾液の分泌量が10倍以上に増加します。唾液の分泌が多い人ほど免疫を担うリンパ球の機能が高く、ストレスホルモン「コルチゾール」が減ることが分かっています。

 もう一つは、リラックスする音楽を聴くこと。好きな音楽に涙し、勇気づけられ、癒された経験は誰にでもあるでしょう。音楽を聴くと副交感神経が優位になり、粘液分泌量を増やすことができます。

 中でも効果が高いのが、モーツァルト。川のせせらぎやそよ風のような一定のシンプルな音が多く、自律神経の中枢に刺激を与える周波数を多く含みます。

 現代人は、意識しなければ交感神経が優位になりがちです。そうした中で、毎日のれんこん習慣と、音楽を聴く心のゆとりを持つこと。それがコロナ禍に負けない、今できる最善の免疫向上法といえるでしょう。

 ●プロフィル

 わごう・はるひさ 日本における免疫音楽医療研究の第一人者。専門分野は、動物生体防御学、腸瘍免疫学、アレルギー学。動物と人間の生体機能と健康の関係を解析。1950年長野県生まれ。東京農工大学大学院修了。京都大学にて理学博士号取得。国際個別化医療学会顧問。著書に『粘膜力でぜんぶよくなる』(ワニブックス)『モーツァルトを聴けば病気にならない!』(ベストセラーズ)など多数。

 ●本の中身ちょっと拝見

 『れんこんパワーで病気をはじき出す! 粘膜力でぜんぶよくなる』

 和合治久著/ワニブックス

 定価:1,100円(税別)

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