ヘルシートーク:管理栄養士・さくらい ゆかさん

2024.03.01 344号 05面
『元・給食の先生がおしえるワンパン健康食堂』 さくらいゆか著/宝島社 定価:1540円(税込)

『元・給食の先生がおしえるワンパン健康食堂』 さくらいゆか著/宝島社 定価:1540円(税込)

本の中身ちょっと拝見:SNSでも大人気の「鶏むね甘辛スティック」

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本の中身ちょっと拝見:「ほくほくみそじゃが」は新じゃがでつくるのもオススメ!

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本の中身ちょっと拝見:主菜にもなる「ささみとセロリの中華あえ」

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 ◇バットもボウルも必要なし! ワンパン料理で、洗い物の時間を短縮

 管理栄養士のさくらい ゆかさんによるフライパン1つでできる「ワンパン料理」が、手軽でおいしく、栄養もしっかり摂れるとSNSで話題です。元・給食の先生でもあるさくらいさんに、栄養満点のワンパン料理をつくるコツやオススメのレシピを教えてもらいました。

 ●狭いキッチンでも大丈夫 フライパンの上だけで調理が完結

 ワンパン(フライパン1つ)で調理をするようになったのは、息子が3歳の頃、料理に興味を持ち始めたのがきっかけです。我が家のキッチンは手狭なこともあり、息子が調理台でサラダをつくりたいと言ったら20分近く待つしかなくて…。

 その間に、ガス台の前でみそ汁とおかずをつくれたら効率よく作業ができると思い、ワンパンで完結するレシピを考えるようになりました。

 フライパンは、加熱調理するだけのものと思いがちですよね。でも、バットやボウルの代わりにも活用できるんです。だから、私が考案するワンパン料理は、下準備からフライパンしか使わないのが特長です。

 例えばハンバーグをつくる時は、フライパンの中でひき肉をこねるし、揚げ物もパン粉、卵、小麦粉をフライパンの中に入れて衣を付けます。使う調理器具が減るので、洗い物を含む片付け時間がとにかく短縮できるのがメリットです。ヌルヌルになったボウルやバットを洗う必要もないですし、水も洗剤も減らせます。子育て中は、自由な時間を生み出すことがむずかしいと思うのですが、片付けが時短でできれば、その分、自分の時間に使うこともできますよね。

 また、包丁やまな板を使用せず、キッチンバサミで代用することが多いので、省スペースでつくれるのもポイントです。

 フライパンには、それほどこだわりはなく、主に使っているのは、フッ素樹脂加工のもの。スーパーなど身近で手に入る、扱いやすいサイズでいいと思います。ただ、フライパンに傷がついてしまうと焦げついてしまうことがあるので、金属製のトングなどを使う時はご注意を。

 ●お総菜の味がワンパンでできる!「鶏むね甘辛スティック」

 調味料は、できるだけシンプルなものを選んでいます。塩の入っていない日本酒、本みりん、米酢などの調味料がベース。最初から味が混ざっているものよりも、シンプルな調味料の方が、いろいろと応用も効いて便利です。

 お総菜売り場でよく見かける甘辛チキン。この味がワンパンでつくれるのが、新刊でも紹介している「鶏むね甘辛スティック」です。鶏むね肉をスティック状にハサミで切って、酒と塩・こしょうをもみ込み、フライパンの中で片栗粉をはたいて揚げ焼きにすればできあがり。たれをつけ込まなくていいので、調理時間は約10分。片栗粉をはたくことで、たれがからみやすく、保水効果になるので、ぱさつきがちな鶏むね肉も、しっとりやわらかく仕上がります。SNSでも人気が高く、我が家の定番メニューの1つです。

 副菜レシピの中でも「子どもがパクパク食べてくれた!」など、たくさんのコメントをいただいたのが「至福の焼きにんじん」。皮ごとスティック状に切ったにんじん、バター、塩をフライパンに入れて蒸し焼きにするだけなので、わずか5分でつくれます。にんじんは、皮周辺に栄養素が多いので、皮ごと使うか、ピーラーで薄く皮をむくのがオススメです。

 ちなみにレシピ名の「至福」は、息子がこの言葉を覚え立ての時に、おいしい・うれしいといった意味で「至福だ~」とよく言っていたから(笑)。使い方は少しズレていたのですが、これはいいなと思って、レシピ名に入れました。

 ●むずかしく考えなくていい 「一汁二菜」で栄養も十分

 いまが旬のセロリの香りには、約40種類の成分が組み合わさっていて、神経を鎮める作用も。そのため、イライラしがちな日には、「ささみとセロリの中華あえ」がオススメです。著書の中では副菜として紹介していますが、たんぱく質も摂れるので、たくさんつくって皿に盛れば主菜にもなりますよ。

 春野菜の中でも、大好きなのが新じゃがです。フライパンでじゃがいもを水煮にした後、みそとからめる「ほくほくみそじゃが」は、新じゃがでも、おいしくつくれますし、最後にすりごまを加えるので、ごまの香りが口いっぱいに広がるんです。じゃがいもに含まれているビタミンCは、でんぷん質に守られているので、ゆでても流出が少ないのがポイントです。

 保育園で給食の先生をしていた頃、よく相談されたのが、子どもの好き嫌い。でも、苦手な食べ物を無理して克服させなくてもいいと思っています。給食では、子どもが苦手なものがあった場合、「ひと口食べてみよう」と声はかけるけれど、食べるかどうかは本人任せ。そのうち、「みんながおいしいと言っているなら、今日は食べてみようかな」という気持ちになることもあるんですよね。だから、食卓でも子どもが苦手なものも並べて、家族が「おいしい~」と言って食べることが大事だと思います。

 昔は一汁三菜が主流でしたが、いまは働くママたちも増えて、毎日のごはん作りに、それほど時間をかけることができないと思うんです。だから、ごはん、みそ汁、主菜、副菜1品の「一汁二菜」で十分。栄養のことを気にしすぎてしまうと負担になってしまうので、手軽においしくできて、栄養も摂れるワンパン料理を活用していただければと思います。

 ●プロフィル

 管理栄養士。漢方認定講師(R)・薬膳セラピー認定講師(R)。保育園で給食の先生として約7年勤務。勤務先の閉園をきっかけにSNSで料理の発信を始め、2023年12月現在、総フォロワー数は25万人を超える。2児の母で4人家族。オリジナル献立の配信サービス「今月のばんごはん」も運営中。

 ●NEW Book

 『元・給食の先生がおしえるワンパン健康食堂』さくらい ゆか著/宝島社

 定価:1540円(税込)

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