食品経営者フォーラム、国連WFP協会・下村理恵氏が講演 世界の食糧不安、かつてない状況

下村理恵副所長

下村理恵副所長

鈴木邦夫事務局長

鈴木邦夫事務局長

 日本食糧新聞社主催の食品経営者フォーラムが21日に開催され、国際連合世界食糧計画WFP協会(国連WFP協会)日本事務所の下村理恵副所長が、ウクライナ緊急支援の現状と今後への期待~難民・避難民への食糧支援へ挑むWFPの活動をテーマに講演し、「世界の急性食糧不安、生命や生活に差し迫った危機を及ぼし、緊急の支援が必要な方々は21年で2億8300万人。22年には3億4500万人と予想され、かつてないほどのニーズがある」と語った。

 下村氏は、現在世界中で10人に1人の割合で飢餓状況にあり、人道支援がなければ死に至る可能性がある人が多数いるとした上で、「WFPは世界の急性食糧不安に向けて、設立以来最大となる1億5200万人への支援を22年には目指しているが、必要な支援金額の半分も確保できていない」と強調。

 またウクライナでの紛争は、世界有数の穀倉地帯で起こり、ウクライナとロシアからの穀物輸出が停止。小麦1400万t、トウモロコシ1600万tが動かなくなり、これは4億人に影響を与えると述べた。

 価格高騰、世界情勢の不安、人の流出が続き、世界の食料事情が悪化している状況は、配給の削減を強いられ、空腹の子どもから食料を取り上げ、餓死寸前の子どもたちにも渡さなければいけない選択を迫られているとし、同協会の鈴木邦夫事務局長とともに、企業・団体・個人からのさまざまな寄付を呼び掛けた。(阿久津裕史)

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