「FOOD UP ISLAND」発足 食の未来創造へ、業界・企業の壁越え共創
人口減少による国内市場の縮小と世界的な人口増加による食糧・エネルギー供給不足懸念という難しい課題に直面する食品産業で、目指すべき未来を、業界・企業の壁を越えて模索する動きが若い世代から生まれた。食品メーカーを中心とする食のコミュニティー「FOOD UP ISLAND(FUI)」が発足した。森永製菓発企業ベンチャー「SEE THE SUN」の金丸美樹社長が発案者となった。
7日、東京都内で開催したイベントで金丸氏は、「食の未来を創造し、未来の食の企業の礎をつくること」がFUIのミッションとし、「賛同する企業・メンバーの技術とノウハウを掛け算し『新しい食』『新しい食ビジネス』を創造するイノベーションコミュニティー」を目指すと宣言。普段“競争”関係にある企業が、食品産業の課題を議論し、新価値を“共創”する。
金丸氏は、国内市場の縮小の中で、世界に誇る優秀な技術を持つメーカーがパイの奪い合いで疲弊するのであれば、FUIという場を設け、協力し共創することで、足し算ではなく掛け算の解決法が生まれる可能性を指摘。さらに、多様化する現代では、50億円ブランドの開発だけではなく、1億円ブランドを50個創るという思考の重要性も指摘。各企業のリソースの枠を超え、共創による商品開発・事業開発で付加価値を創出すると同時に、未来の食の再定義を行い、硬直化する業界を変革し食の新領域へ挑戦すると語り、食品産業をはじめ、業界以外からのFUIへの参画を呼び掛けた。FUIの組織は、アドバイザーに、SUNDREDの留目真伸代表をはじめ、弁理士など食品業界以外からの人材を迎え、異なる視点からのアドバイスを得る体制を構築した。
イベントには、FUI創設メンバーの亀田製菓・マーケティング部戦略立案チームマネジャー澤田大氏、キリンホールディングス・R&D本部研究開発推進部會田裕佑氏、サッポロビール新価値開発部第1新価値開発グループシニアマネジャー田村征平氏、ニチレイフーズ研究開発部長武藤正道氏、森永製菓研究所未来価値創造センター第3グループマネジャー家本直季氏、森永乳業研究本部食品開発研究所チーズグループマネジャー白庄司宣明氏が参加し、「直面する課題」、FUIへの「参加理由・やってみたいこと」などをテーマに対話を行った。(青柳英明)