ユーグレナ社、緑豆プロジェクトがビジネス行動要請に採択 貧困・栄養問題解決へ

農産加工 ニュース 2020.04.08 12036号 02面
バングラデシュにおける緑豆栽培

バングラデシュにおける緑豆栽培

ユーグレナ社とグラミンユーグレナ社は3日、バングラデシュの貧困農家の所得向上を目指して共同で取り組んでいる、緑豆栽培によるバングラデシュ農家の所得向上を目指す「緑豆プロジェクト」が、国連開発計画(UNDP)主導の「ビジネス行動要請(BCtA)」に採択されたと発表した。

グラミンユーグレナ社は06年ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士率いるグラミンクリシ財団とユーグレナ社による合弁会社。BCtAに採択されたことで、事業拡大が可能となる。両社では、緑豆など農作物栽培で、バングラデシュの貧困問題と栄養問題の解決を推進する。バングラデシュは、労働人口の40.6%が農業に携わる農業国である一方、地方の農村ではいまだに貧困が大きな問題になっている。地方農家の生活水準改善のため、農村での雇用の創出と農業を通じた農家の収入増が重要な課題となっている。

両社は、14年10月からバングラデシュで「緑豆プロジェクト」を展開し、貧困に苦しむ農家の所得向上を目指している。プロジェクトで、両社はバングラデシュの農家に緑豆の栽培技術指導を行うとともに、中間業者を介さずに直接農家から緑豆を購入するシステムを構築。その結果、ユーグレナ社が市場価格より高値で農家から緑豆を購入することが可能となり、バングラデシュの農家の収入増に貢献している。19年2月には「緑豆プロジェクト」をはじめとするユーグレナ社の実績が国連世界食糧計画(WFP)に評価され、日本企業として初めてWFPの事業連携のパートナーになった。

これによって両社は、ロヒンギャ難民流入などの弊害を受けるバングラデシュ側の小規模農家に対して緑豆の栽培指導を行い、栽培された緑豆を市場価格より高い金額で購入し小規模農家の収入増につなげている。また、この緑豆はWFPを通じて難民キャンプのショップで販売され、難民が直面する食料調達と栄養不足の解決に大きく寄与している。

BCtAは、08年に発足したUNDPを含む六つの開発機関・政府が主導する、長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できるビジネスモデルを模索し、促進する取り組み。企業がそのビジネスモデルと企業のコアとなる技術を適用しながら、貧困層の成長を活性化させ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を促進することを目的とする。(青柳英明)

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