ガム市場、2つの追い風 侍ジャパン優勝・「脱マスク」開始

菓子 ニュース 2023.04.05 12560号 01面
WBC期間中、ガムの納品実績は大幅に伸びた

WBC期間中、ガムの納品実績は大幅に伸びた

 ガム市場は、コロナ禍以降のリモートワークへの移行や人と人の物理的な距離が遠くなったことで、口臭ケアやリフレッシュなどの価値を提供するガムは需要が大幅に落ち込んでいたがここにきて、二つの追い風が同時に吹いている。追い風の一つが、3月8日に開幕し侍ジャパンの優勝で日本中が熱狂した第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。もう一つが3月13日にマスク着用のルールが変わり、個人の判断に委ねられた「脱マスク」。市場拡大の兆しが見え始めた。(青柳英明)

 WBCの試合を確認すると、侍ジャパンをはじめ、ガムをかんでいる選手が一定数いることが分かる。WBCが盛り上がり、ガムの喫食動機が高まっている可能性がある。そこで、ロッテに3月6日から3月20日までの販売状況を確認したところ、納品実績が期間中で30%増と伸長していることが分かった。日本戦が行われた9日は19%増、10日は10%増、11日は10%増、12日は日曜日で納品実績はなし、準々決勝が行われた16日は65%増と大幅増となった。さらに20日には347%増と驚異的な伸びを示した。

 ロッテでは、長年のガムおよびかむことの研究を重ね、ガムをかむことによる効果を科学的知見に基づき発信している。同社では、WBCとガム納品増の関係は不明としながらも、「噛むことと野球」の関連性について「バッティング時にはかみしめること・咀嚼筋が活動し、大きな力を生み出すことにつながる。また走塁のスタート時に必要な加速や守備の時においても身体のバランスを保つために、適度な力でかみしめることは重要と思われる。咀嚼筋を鍛えることで短い距離を走るときのスピードが速くなったとの報告もあるため、普段からかみ合わせが悪くならないようにすること、咀嚼筋を鍛えることは重要と考える」とコメント。なお、ロッテは東京歯科大学・武田友孝教授監修の試合中などに「噛むこと」で選手をサポートするための商品「プロフェッショナルガム」を千葉ロッテマリーンズの選手に提供している。

 「クロレッツ」ブランドなどを展開するモンデリーズ・ジャパンは「スポーツ選手の方々がガムをかんで試合で活躍していることをうれしく思う。そのような姿を見て、ガムをかむきっかけにしていただければさらにうれしい」と期待を寄せる。

 「脱マスク」についても、ガムメーカーは追い風になると期待する。3月13日のマスク自由化に続き、5月には、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げとなり、「脱マスク」の動きがさらに進み、マスクをすることなく、コミュニケーションをとる機会が増え、口や息の対策としてガムのニーズが高まると予測する。

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