新型コロナ影響:休校の学校給食、現状把握に追われる

外食 ニュース 2020.03.04 12021号 01面

政府からの新型コロナウイルスの感染拡大対応で、早いところは2日から小中高校の休校が始まった。おりしも3月3日は桃の節句で雛御膳(命名はそれぞれ)、そして卒業を祝う給食と、3月は子どもたちが楽しみにしている行事食が続く。学校給食の食材費1ヵ月約410億円(文部科学省2018年度学校給食実施状況等調査で本紙独自算出)が揺れている。

関東の卸は「2月27日夜の安倍首相による学校休止要請を受けて、28日にセンターからキャンセルの電話が相次ぐ。3月2日から休校になり、給食商品のキャンセル可能な商品と不可能な商品を一品一品精査中」と対応に追われている。キャンセルができない商品の対応は未定で、ひな祭りや卒業式祝いの高額な商品がなくなったのは痛いと、不安しか見えていない。

他の卸も「準備期間がなく、とりあえずメーカーからの入荷を止める対応に追われている」「学校給食中止のスタート、期間は各自治体でまちまち。行事食を4月に提供できないか自治体と話をしているが、すべて個別対応である」と状況把握に追われている。

中部のある卸は「学校給食商品は、行事食、特注品(地産商品など)、量目が子ども設計など、基本的に外食や惣菜など他の業務用業態に転売が利かない商品が多く、学校給食比率が高い卸は非常に厳しい」と語り、キャンセルが相次いで出荷できなかった商品や返品商品などで倉庫が在庫の山となっているという。4月に使用できたとしても、使用商品が押し出されるだけなので、売上げ減に変わりはなく、在庫する新たな保管料が発生する懸念もある。

焦点は、3月の浮いた予算が今後どうなるかである。今学期は野菜相場が安かったことで加工食品への予算配分が増えると見込まれ、3月は単価増が期待されていたが、これもなくなった。来年度への繰り越しは、基本的にないようだが、緊急事態ということで4月に回してもらえるようにとの働きかけを各社が行っている。

文部科学省も「3月分給食費を家庭に返金するか否か、業者への補償問題も含めて国の方針が固まらないと、現時点ではなんとも言えない」(文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課)と、政府の動きを静視している状況である。また学校給食調理員スタッフを受託している企業は、学校給食が再開となった場合に即時に対応できるように、スタッフは自宅待機または自治体の方針で給食施設内の清掃など業務指示が出ている場合はその指示に従って万全を期す態勢を取っているという。(海野裕之、金原基道、福島厚子)

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