伊藤ハム米久HD、20年3月期は増収増益で着地 コロナ影響で今期減益32億円想定

乳肉・油脂 決算 2020.05.18 12052号 02面
宮下功社長

宮下功社長

 伊藤ハム米久ホールディングスの20年3月期連結決算は、売上高8524億4500万円(前年比0.2%増)、営業利益172億6600万円(同19.1%増)、経常利益195億3400万円(同24.6%増)、当期純利益114億3900万円(同8.0%増)と増収増益で着地した。

 加工食品事業は、ハム・ソーセージの主力商品(「The GRAND アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」「ポークビッツ」「御殿場あらびきポーク」「原形ベーコンシリーズ」など)を中心に販促を強化したほか、引き続き好調に推移している調理加工食品は、ピザ類に加え、「サラダチキン」「レンジでごちそうシリーズ」「旨包ボリュームリッチハンバーグ」などの簡便・健康志向商品が伸長し、売上高は3002億0900万円(同2.8%増)。利益面については、物流費の上昇と、「夢工場」(米久)の火災による損失を特別損失として計上したことから前年実績を下回り、営業利益は67億3000万円(同15.0%減)にとどまった。

 食肉事業は国内事業については、新規取引先の獲得や国内生産者との連携強化、オリジナルブランドなどの付加価値の高い商品の拡販を進め、販売数数量・売上高ともに増加した。牛肉は、輸入牛肉が堅調に推移する一方で、国産牛肉の販売数量が減少し売上高は減少したが、収益は前年実績をクリアした。豚肉は、サンキョーミートの新工場稼働による生産数量増に加えて、輸入豚肉のオリジナルブランド「アルティシモ・リバサム」「菜の花そだち三元豚」が伸長したが、国産豚肉の販売価格下落の影響で収益面は苦戦した。鶏肉は、国産鶏肉の「大地のハーブ鶏」を積極展開し、売上高は増加したが、輸入鶏肉の調達コストが上昇し減益となった。海外のアンズコフーズ社は、調達および販売環境が回復し、収益管理体制の強化にも取り組んだ結果、外貨建ての売上高は増加、収益も大幅に改善した。食肉事業全体では、売上高は5481億8400万円(同1.2%減)、営業利益は112億8400万円(同53.2%増)を計上した。

 今期(21年3月期)の見通しについて宮下功社長は「新型コロナウイルス感染症の影響による減益は約32億円(うち5億円はアンズコフーズ社)と見ている。家庭用商品は堅調だが、長引く外出自粛などで業務用商品、百貨店事業、ギフト商品の苦戦を想定しているが、今後は景気や消費者の購買意欲、消費行動の変化を見極めて適切対応することで、販売チャネルごとにチャンスを逃さず拡販を進め、業績の上積みを図りたい」としている。 中計最終年度となる今期は、業務用を中心に新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境が21年3月期上期まで続くと仮定しており、21年3月期の連結業績予想は売上高8300億円(前年比2.6%減)、営業利益150億円(同13.1%減)、経常利益160億円(同18.1%減)、当期純利益120億円(同4.9%増)を計画している。(廣瀬嘉一)

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