ドラッグストア特集
◆ドラッグストア特集:“食と健康”市場創造を 予防・治療・介護に業態成長の方向性
ドラッグストア(DgS)業界には、予防・治療・介護を支える地域のワンストップサービスの拠点としての業態の成長の方向性が業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)によって示されている。その予防と介護を担うのが“食と健康”だ。JACDSが加盟DgS各社と協力して進めている“食と健康”の市場創造の取組みは、まずはDgSの事業者が健康食品を適切に販売し、国民の健康寿命の延伸に寄与する売場づくり、機能別陳列への自主基準を持つことからスタートする。(流通グループ)
●機能別陳列へ自主基準
JACDSは19年度事業として「『食と健康』市場創造 販売マニュアル」の作成を進めてきた。その根幹を支えるのが「健康食品の販売方法、情報提供等に関する自主基準(案)」(健康食品等自主基準案)。JACDSでは2月7日までに消費者庁の表示対策課、厚生労働省医薬・生活衛生局の総務課、監視指導・麻薬対策課、医薬安全対策課、食品基準審査課から同基準案の確認をとった。
健康食品等自主基準案は「機能別陳列」「販売時における情報提供」「陳列について」「店内表示・POP等について」「店内システム機器・書籍・パンフレット等の内容について」の5項目で構成する。
「機能別陳列」では、機能名の棚表示例を消費者庁、厚生労働省から確認がとれている21の文言に限定した。陳列する商品については保健機能食品(特定保健用食品〈トクホ〉、機能性表示食品、栄養機能食品)に限定した。その上で、保健機能食品と一般用医薬品を、同一棚などに混同して陳列せず、混同するかのように表示しないこととした。トクホ、機能性表示食品、栄養機能食品も同様に混同するかのような陳列、表示は行わないとした。
「販売時の情報提供」では、サプリメントと医薬品の相互作用など、サプリメントの安全な使用に関する情報も含めて提供するとした。そのための健康食品についての合理的根拠に基づく情報源として、「健康食品の正しい利用法」(発行=厚生労働省、医薬基盤・健康・栄養研究所、16年2月)が収載している「信頼できる健康食品情報源(公的機関等)」の中から、健康食品の有効性、安全性、医薬品との相互作用(飲み合わせ)を収載する「健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース」(NMDB、監修=日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、発行=日本健康食品・サプリメント情報センター)を参考図書として薦めている。NMDBはサプリメントの素材、成分などに対し有効性レベルを6段階に区分している。レベル(5)(おそらく効きません)、レベル(6)(効きません)の素材、成分などについては、相談を受けた場合、その旨を可能な範囲で提供し国民のヘルスリテラシー向上に貢献し、顧客からの信頼を得るよう努めることとした。
「陳列について」は四つの禁止事項を掲げた。一つ目は、機能性表示食品、栄養機能食品が、国が個別に認可しているトクホと誤認する陳列は行わないというもの。二つ目は、いわゆる健康食品が、あたかもトクホや「歯サポート」の機能性があるかの表示をして、陳列してはならないとした。三つ目は、機能性表示食品の届出資料に記載された機能性に関する研究レビューから、都合のよい部分だけを抜粋し、「身体の特定の部位(目、関節、脳等)の健康を維持する」など、当該部位に関する機能があると誤認される表示をして、関連商品を陳列しないとした。四つ目は、栄養機能食品は、国が定める成分と1日当たりの摂取目安量などの基準が定められて食品であるが、1日当たりの摂取目安量に達していないにもかかわらず、例えば「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」などと表示し、関連商品を陳列しないとした。
「店内表示・POP等」では考慮すべき注意点を掲げている。一つ目は、特定商品を限定せず、合理的根拠に基づく情報(表示)は、広告とはみなされず、法令上、問題とならないこと。二つ目は、合理的根拠に基づく情報源として、NMDBの記載内容を参考図書として活用できる(保健機能食品に限定せず機能性を表示できる)というもの。三つ目は、素材、成分の機能性を抜粋して表示する際には、NMDBの有効レベル3以上とし、注意事項を漏れなく記入するというもの。抜粋に際しては、店舗ごとに行うとバラツキがでるために、NMDBの発行元の日本健康食品・サプリメント情報センターが作成した共通の掲示シートを活用するとした。また、特定商品の限定は、「不当な表示の禁止」(景品表示法第5条第1号)に該当するためとの注意も喚起した。
「店内システム機器・書籍・パンフレット等の内容について」では可能な情報提供を掲げた。現在、トクホ、機能性表示食品については発行元でデータベース化されており、JANコード付きの一覧もあるため、店内の商品はタブレットで検索できるとして、店内にタブレットなどを設置し、店内の機能別陳列棚に対応した機能名ごとに、当該関与成分、安全性情報、関連商品を検索できる体制を整備することを薦めた。また、NMDBを活用した合理的根拠に基づく健康食品情報からパンフレット、チラシなどを作成できること、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」を参照して消費者庁の「機能性表示食品届情報」から機能性関与成分に関する情報を適切に抜粋して、店舗で活用できること、「日本食品標準成分表」から各栄養成分、「日本人の食事摂取基準」から目安摂取量、さらに各栄養成分などに関与する機能性を、NMDBから引用して消費者に情報提供、掲示などの表示ができることも示した。