アメリカ家禽鶏卵輸出協会、消費プロモーション強化、原産地表示で弾み
アメリカ家禽鶏卵輸出協会(東京都港区、03・3583・2167)は4日、都内の東京アメリカンクラブで会長のジム・サムナー氏と国際市場開発部長ゲーリック・マーティン氏が来日してプレスコンファレンス、および「おいしさへの情熱」と題してトレードセミナーを開催した。今年度は10月1日から農林水産省の指導による食鶏小売規格改定が実施され、同協会では小売店頭での輸入鶏肉の「輸入品」表示に向けての動きをひとつのターニング・ポイントとして捉え、アメリカ家禽商品に対する一般消費者へのより一層の認知および理解を促進していく方針を明らかにした。
ジム・サムナー氏は同協会は高品質で安全性に優れたチキン、ターキー、合鴨および卵製品の信頼に足るサポーターとして活動しており、日本は米国の家禽鶏卵業界にとって、極めて重要で関係の深い市場であるとしたうえで次のように語った。
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近年日本は、輸入食品の安全性について問われているが、農業大国アメリカの歴史ある厳しい品質管理および衛生検査システムが、実は日本の家禽・鶏卵業界にも導入されている。このことを認知してもらうと、アメリカ家禽、鶏卵商品に対しての信頼感がより一層深まるのではないかと考えている。今回の食鶏規格の改定で今月から輸入品表示および可能であれば原産地の表示を農林水産省から指導されることになったようだが、それらの新しい規格を高く評価するとともに、アメリカ家禽、鶏卵商品の理解促進を図るよいチャンスと捉えている。
また、今回来日するにあたり、日本市場の今後をどうみるのか会員企業二〇社にアンケートを取った。その結果はタイ、ブラジル、中国など、競争がより激しくなるだろうということだった。日本は品質、カットなど、加工に細かい注文が多く、それにかかる労働力が多大で、アメリカは希望に答えられなかったという事実もある。しかし、今後はもも肉のロングカット、骨はずしなど新たな技術でオートメ化を推進し、高品質の商品を人件費の低いところも充分競争できるように設備投資も計画している。
アメリカ市場の現状を話すと、輸出が大幅に成長している。九三年は七ヵ月で二八%成長した。特に7月は対前年同月比五九%増となり、香港、中国、東ヨーロッパ、ロシアに輸出された。このような中で、東ヨーロッパ、ロシアへの輸出は一過性のものである。アメリカは、日本とは長期的にコミットしていきたいと思っているので、日本にも長期的にサポートしてもらいたいと望んでいる。そのことによって、安心して設備投資ができ、より多くの希望に答えられるようになる。
ゲーリック・マーティン氏は10月からの新たな表示について実務的な側面から「店頭レベルの協力を得て新しく開発した原産地表示ラベル(写真)を使用していく。アメリカの協会メンバーには、日本向け商品にはこのラベルを積極的に添付するよう推進していく。具体的には商社を通っているので、商社とパッカーと話し合いをする一方、リテール(小売業)に少しでも協力して欲しいと働きかけている。高品質なアメリカチキンを食べることは消費者にとっても利益になると思っている」と語った。
名木氏はマーケットプロモーションプログラム(MPP)も今年で三年目となり、より充実した活動を目指しているとして、今後の活動について次のように語った。
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当初チキンの需要先がどうしても業務用に向かっていたので、その人達に対してどうしたら利益がとれるか考えたところ、もう少し消費者に高品質のUSチキンを知ってもらい、それが業務用にはね返って差別化ができればと思い、今年から消費者に向けて認知度を高めていく活動を展開することになった。その意味でも、今回の表示はいい機会ととらえており、小売店でのインストア・プロモーション用にPOPツールも開発した。スーパーマーケットなど五〇〇店を目標に参加を呼びかけていく。
つづいて行われたセミナーでは㈱マオ・インターナショナル代表毛見信秀氏が「日本における家禽市場の現状と将来」と題して講演が行われ、8月の輸入数量をみると、レックのぶつ切りがかなり入っているので、小売ではこの冬、かなりぶつ切りが売られそうだなど、最新の情報が提供された。
協会がチャンスとしている産地国表示については「大手ではすでに行っており、中小は牛も豚も産地表示すると売れないので、やりにくくなるだろう。現在、輸入の締める割合は牛は五〇%、豚は三〇%、鶏肉は二三%。ブロイラーに限っては二八%である。従来、比率が三〇%を超えると、大幅に輸入が増えていくといわれており、鶏肉も、輸入が増加するのは時間の問題だと思う」と語った。
また、最近の外食事情については、次のようにチキンの将来性を述べた。「昨年のもつ鍋ブームで変わったことは、小売でももつ鍋コーナーができたこと。外食も小売も同じ土壌になった。小売に比べ、外食の単価は非常に高い。単価見直しで出てきているのはチキンである。とり肉使用のあっさりしたとり鍋はこの冬の新しい商材となるだろう。また、一〇〇㌘九八円で小売できる部位はとり肉の他、牛も豚も可能となった。しかし、同じ九八円の肉を食べた場合、一番おいしく感じられるのはとり肉である。そういったことからも、低価格でも味を追求できるチキンは今後増々需要が延びると思われる」。