セブン残業代不足は41年以上、SEJが全額負担へ 「法令理解不十分」で陳謝

陳謝するセブン―イレブン・ジャパンの経営陣

陳謝するセブン―イレブン・ジャパンの経営陣

セブン―イレブン・ジャパン(SEJ)は、コンビニエンスストアチェーンのセブンイレブン加盟店が過去雇用した元従業員を含む41年以上の残業手当の不足分を、加盟店の給与計算・支払い業務をコンビニエンスストアチェーン本部として代行するSEJ側で全額負担する手続きの準備を10日までに整えた。SEJの経営陣、永松文彦社長、石丸和美執行役員フランチャイズ会計本部長、眞野義昭人事本部長が同日、報道陣を前に法令理解の不十分さなどを陳謝した。

今回判明した支払い不足金額は、名前と振込先が確認できる過去7年9ヵ月の8129店3万405人の対象者だけで、遅延損害金1億1000万円を含む約4億9000万円。

残業手当の計算式への項目参入がされていないことで不足分の存在が確認できる時給勤務者の1978年までと、参入すべき項目の存在が給与明細から確認できるものの項目追加時期が確認できない固定給勤務者の1978年以前の過去7年10ヵ月~41年以上の支払い不足金額は、名前と振込先のデータがないため不明。

陳謝するセブン―イレブン・ジャパンの経営陣

支払い手続きは、瑕疵(かし)はSEJ側にあるが、加盟店と加盟店従業員との雇用関係となるため、現在勤務中の加盟店従業員の対象者には加盟店から残業手当の不足分の有無を伝える形で進める。給与支払者となる加盟店とSEJとの合意の下、11日以降、加盟店との書類手続きが完了した対象者に対して加盟店が振り込みまたは現金で支払う。

石丸氏は「本日、加盟店の経営相談員に対して本件の情報、対応策について説明した。相談員には今回の事の大きさ、われわれに大きな瑕疵があるという考え方をきちんと説明した上で、丁寧に真摯(しんし)にオーナーにご説明をするよう指導した。相談員に何かあったときに上長に相談できる体制、会計部門のフォローもしっかり入れながらすべての従業員に支払額がすべて不足なく届けできるような体制を整えていく」とした。

永松氏は「代行業務をやっているので7年9ヵ月分のリストを持っている。対象となった8129店3万405人については従業員別のリストがあるので、それをもって対応ができたかどうかオーナーとコミュニケーションがとれる状況になっている。あわせて、これについては当然すべてわれわれの負担とさせていただく」とした。

加盟店が加盟店従業員に支払った同額のほか、この件に関して加盟店は要した費用もSEJが加盟店に支払う。退職者については10日午後2時から土曜日・日曜日・祝日を含む24時間受け付けとして開設した「セブン―イレブン従業員様専用『残業手当の一部お支払い』に関するホットライン」(電話0120・386・076)への連絡を求めている。

SEJの経営陣が陳謝した法令理解の不十分とは、2001年6月に判明した加盟店時間給勤務者の「精勤手当」「職責手当」項目、同固定給勤務者の「精勤手当」項目の残業手当計算式への未参入に起因する不足と同不足の未払い、2019年9月に判明した2001年10月から2019年11月の加盟店時間給勤務者の「精勤手当」「職責手当」項目の残業手当計算式での割増率1・25倍を0・25倍とした間違い。

「精勤手当」項目は休まず出勤・熱心な職務への手当、「職責手当」は職務の責任に対する手当。2001年6月と2019年9月のいずれも労働基準監督署が加盟店に指摘したことで明らかになった。また、SEJは2001年6月に判明した時点で、事実を公表せず残業手当不足分の支払いに対する措置を放置した。SEJ経営陣の陳謝にはこの非公表と放置も含む。

SEJでは、再発防止のために(1)給与支払い代行業務の担当部署を含む関連部署での労働関係法令に関する社内研修などの強化(2)給与支払い代行業務に関する内部チェック体制の強化と第三者の外部機関による定期的なチェックの実施(3)店舗従業員の給与支給明細での残業手当対象項目の明確化――の三つの対策を実施するとしている。

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