コスパも個性も進化する「缶チューハイ レモン」プライベートブランド5品を比較

プライベートブランドの「缶チューハイ レモン」

プライベートブランドの「缶チューハイ レモン」

ますます商品ラインアップを増やし続けるプライベートブランド市場。最近ではオリジナルのアイテムやこだわりの製品を開発する動きも多い。今回はプライベートブランド商品から缶チューハイのレモンフレーバーをピックアップし、比較レビューを行った。取り上げた商品は、「トップバリュ ベストプライス」(イオン)、「セブンプレミアム」(セブン&アイ・ホールディングス)、「カインズ」(カインズ)、「みなさまのお墨付き」(西友)、「StyleONE(スタイルワン)」(ユニー、イズミヤ、フジの3社協業)の5アイテム。

【トップバリュ】コクのある甘さが

トップバリュは1974年から変遷を続け、2019年には45周年を迎えたイオンのプライベートブランド。中でも「ベストプライス」はよりコストパフォーマンスの高い商品を提供するブランドとして1992年に誕生、2018年に「トップバリュ ベストプライス」を刷新した。

トップバリュ ベストプライス チューハイ レモンスピリッツ&レモン果汁

このほか「トップバリュ セレクト」「トップバリュ グリーンアイ」がある。また、缶チューハイのレモンフレーバーは本品以外に アルコール分9%のストロング系、カロリーハーフタイプがある。

<商品名>
トップバリュ ベストプライス チューハイ レモンスピリッツ&レモン果汁

<スペック>
アルコール分5% 果汁3%

トップバリュ ベストプライス チューハイ レモンスピリッツ&レモン果汁

<味>
見た目はやや濁りあり。甘さが感じられやすく、まろやかながら、のどごしはよく、後味はスッキリとした酸味。

<レモン果汁感>
レモン果実らしい甘さはあるものの、酸味が穏やかなためコクのある甘さを感じる。

<缶デザイン>
全体的にイエローカラーでレモンを強調したデザイン。ナショナルブランド商品と似ているデザインだが、ロゴも大きくプライベートブランドであることは明確でトップバリュを求める人にもわかりやすい。

トップバリュ ベストプライス チューハイ レモンスピリッツ&レモン果汁

<価格>
350ml缶/85円(税別)
アルコール度数、果汁率を考慮し他社と比較してほぼ同価格。

<購買層および購入ポイント>
レモン果汁感は控えめながら、甘さを感じられやすいことで甘いものを求める層は買いやすいと思われる。同価格帯で「STRONG CHU-HI LEMON Wレモンスピリッツ&レモン果汁 ALC.9%」や「辛口 焼酎ハイボール レモン」があるので、選択肢も多い。

<製造者>
合同酒精

【セブンプレミアム】キリッとした爽快感

セブンプレミアムはセブン&アイグループで2007年に誕生したプライベートブランド。 セブンプレミアムのほか、セブンプレミアムゴールド、セブンプレミアムフレッシュ、セブンプレミアムライフスタイルがある。

セブンプレミアム 果実のチューハイ レモン

缶チューハイレモンでは、アルコール度数9%のストロング系のほか、 クリアクーラーシチリア産レモンサワー、プレミアムバー華やかレモンなど、350ml110円、140円の価格帯のものも展開している。

<商品名>
セブンプレミアム 果実のチューハイ レモン

<スペック>
アルコール分5% 果汁3%

セブンプレミアム 果実のチューハイ レモン

<味>
見た目は無色透明。泡はすっと消える。口内で弾けるようなキリッとした爽快感がある。

<レモン果汁感>
とてもさっぱりしていて、爽快感重視。レモン果汁感は控えめ。

<缶デザイン>
ロゴは明確でプライベートブランドらしいデザイン。同社プライベートブランド の「セブンプレミアムバー 華やかレモン」や「セブンプレミアム クリアクーラーシチリア産レモンサワー」のデザインとは明確に差をつけている。

セブンプレミアム 果実のチューハイ レモン

<価格>
350ml缶/96円(税込み)
アルコール度数、果汁率を考慮し他社と比較するとほぼ同価格。

<購買層および購入ポイント>
レモン果汁感はやや控えめに感じられるものの、むしろ他プライベートブランド レモンチューハイ商品ではレモン果汁感を重視したものになっているため、逆に選択肢の一つと言える。また、ナショナルブランド商品はプライベートブランド 商品よりも全体的にレモン果汁感が強いため、それが苦手な層は購買層となりえるのではないか。

<製造者>
アシードブリュー

【カインズ】インテリアに馴染む素朴さ

ホームセンターのカインズのプライベートブランドは食品に限らず、インテリアから園芸用品、文房具まで商品展開は多岐にわたる。果汁9%「レモン チューハイ ストロング」 「レモンチューハイ カロリー43%オフ」「焼酎ハイボール レモン」などもある。

カインズ レモンチューハイ

<商品名>
カインズ レモンチューハイ

<スペック>
アルコール分5% 果汁2.7%

カインズ レモンチューハイ

<味>
見た目はやや白く濁った色。レモン感は強く感じ、まろやかで飲みやすい。アルコール感はあまりないがフルーティー。

<レモン果汁感>
果汁は他社よりも少ないものの、甘味がやや抑えられていることで酸味が感じやすく、果汁感がある。

<缶デザイン>
レモンを丸ごと載せているシンプルなデザイン。シズル感はないがホームセンターならではのインテリアに馴染む素朴さがある。ロゴは小さく目立たないものの、統一デザインでプライベートブランド であることは店頭で一目瞭然。

カインズ レモンチューハイ

<価格>
350ml缶/85円(税込み)
果汁率は他社と比較し低いものの、価格も抑えられていることでコスパの悪さは感じない。

<購買層および購入ポイント>
評価の高いプライベートブランド 商品であり、価格も安い。ホームセンターのため、サイズの大きい家具などを購入するため車で訪れる人も多いことで、ケースでの購入がより期待できる。

<製造者>
三幸食品工業

【みなさまのお墨付き】リピーターになりやすい仕掛けが

第三者機関の調査会社に依頼する消費者テストで80%以上の評価を得たものだけを商品化する西友のプライベートブランド 「みなさまのお墨付き」。2019年10月までは評価70%以上だったのを80%以上に変更し、値上げをしたら再テストを行う厳格なルールがあるためか、高評価のプライベートブランド 商品が多い。

みなさまのお墨付き チューハイレモン

プライベートブランド のHPには商品ごとに支持率が記載されている。ちなみに本品は支持率 88.8%。この他に「みなさまのお墨付き チューハイレモン ストロング」(支持率 92.5%)や「みなさまのお墨付き 炭酸水で割るだけの レモンサワーのもと」(支持率 93.4%)がある。

<商品名>
みなさまのお墨付き チューハイレモン

<スペック>
アルコール分5% 果汁3%

みなさまのお墨付き チューハイレモン

<味>
見た目は白い濁りがある色合い。酸味はおだやかながらまろやかでレモンの味わいも感じやすい。鼻から抜けるほのかなアルコール感が強すぎず、バランスが良い。

<レモン果汁感>
レモン果汁感は強め。飲んだあともレモン果汁感が残る。

<缶デザイン>
薄いブルーが入った涼しげなデザイン。ロゴである「みなさまのお墨付き」はフォントのみとなり、コピーとも見えることで知らない人からすれば一見プライベートブランド とはわかりにくいか。

みなさまのお墨付き チューハイレモン

<価格>
350ml缶/93円(税込み)
アルコール度数、果汁率を考慮し他社と比較するとわずかに安いがほぼ同価格。

<購買層および購入ポイント>
調査による支持率の高いものという独自の背景によりニーズに合った商品が展開されおり、西友を利用する客はリピーターになりやすいと言える。その厳格なルールはそのまま購入層へのフックとなっており、「みなさまのお墨付き」のシステムが認知されるたびに顧客は増えやすい。

<製造者>
三幸食品工業

【StyleONE】手軽に飲めるストロング系

StyleONE(スタイルワン)は ユニー、イズミヤ、フジの3社が協業して2009年から開始したプライベートブランド。レモンチューハイは、ストロング系アルコール8%のみを展開中。

StyleONE(スタイルワン) チューハイレモン ストロング

<商品名>
StyleONE(スタイルワン) チューハイレモン ストロング

<スペック>
アルコール分8% 果汁3.5%

StyleONE(スタイルワン) チューハイレモン ストロング

<味>
見た目は無色透明。すっきりとした酸味があることで飲みやすい。泡は強めで喉に長く感じられた。後味に甘味が残る。

<レモン果汁感>
酸味はあるもののレモン果汁感はさほど強くない。アルコール感があることでレモン果汁感は抑え気味に感じられる。

<缶デザイン>
半分のレモンイラストやシズル感はあるが、「ストロング」を強調し、アルコール度の高さをアピールしたデザイン。ナショナルブランドのデザインの中に紛れるデザイン性だが、「StyleONE」のロゴは明確。プライベートブランド を探す人にも、価格のみで探す人にもどちらにも手に取りやすいデザイン。

StyleONE(スタイルワン) チューハイレモン ストロング

<価格>
350ml缶/85円(税込み)
果汁は他社と比べ3.5%と高く、果汁率の面から見て85円はコスパがよいといえる。

<購買層および購入ポイント>
飲みやすく安いこともあり、強いこだわりがなく手軽にストロング系を飲みたい人が購入しリピーターとなりやすい。果汁率から見てコスパはよいので、その点で選択する層もいると思われる。

<製造者>
アシードブリュー

プライベートブランドも個性で差別化

2020年4月以降、食品表示法新基準の経過措置期間が終了し、全てのプライベートブランド 商品に製造者の表記がされている。プライベートブランド に求めるものにはまず「安さ」があげられるが、製造者の表記により消費者は製造者情報も選ぶ基準の一つとするため、より厳しい選択がされていくこととなる。

その中でどう差別化をしていくかはそれぞれのブランドで違いが表れている。イオン、セブン&アイといった大手ではバラエティーに富んだ商品展開で選択肢を増やしナショナルブランド商品のように個性の強い商品を増やしている。

カインズのように、すべてのプライベートブランド デザインを統一し果汁率を下げつつコストを抑え、ケース買いの顧客を強く視野に入れた展開、西友の「みなさまのお墨付き」のように、独自のシステムによって支持を得る方法、StyleONEのようにストロングのみにラインアップを一本化し経費を抑え果汁率を上げながらも価格を下げる展開など、さまざまな形でプライベートブランド 商品は進化し分岐していっている。

消費者の需要に柔軟に対応できるプライベートブランド 商品は、その性質ゆえに苛烈な競走が展開される。製造者の表記も義務付けられ、市場は広がり多様な商品が生まれる中、この先コスパの高さには変わらず重点に置きつつも、それだけでは勝ち抜くことは難しい。

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